1948年福井地震から70年

1948年6月28日、福井県でM7.1の地震が発生し、3769名の方が亡くなるなど大きな被害がもたらされました(理科年表より)。この死者数は、昭和に発生した日本の地震では最多です。福井平野における建物の倒壊率は非常に高く、これがきっかけとなって、気象庁はそれまで最大であった震度6(烈震)の上に新たに震度7(激震)を設けることになりました。

写真は、東京大学構内の本郷観測点に設置された地震計で記録された福井地震の記録です(提供:地震研究所古地震・古津波記録委員会および室谷智子氏(国立科学博物館))。

【7月20日】第76回 知の拠点セミナー開催

第76回 知の拠点セミナー が7月20日(金)に地震研究所で開催されます。

知の拠点セミナーは、学問の最先端の様子を一般の方々や学生の方々にお届けするために、国立大学共同利用・共同研究拠点協議会が毎月開催しているセミナーです。6月から地震研究所で開催することになりました。
セミナーの内容や参加申し込み等の詳細は、下記のウェブサイトをご覧ください。
http://www.kyoten.org/seminar/H30/76/

金子隆之助教、前野深准教授、中田節也名誉教授が日本火山学会論文賞を受賞

金子隆之助教、前野深准教授、中田節也名誉教授が日本火山学会論文賞を受賞。

対象論文:2014 Mount Ontake eruption: Characteristics of the phreatic eruption as inferred from aerial observations. Earth Planets and Space, 68, DOI 10:1186/s40623-016-0452-y

選考理由:
本論文では、社会的に注目を浴びた御岳2014年噴火に関して、筆者自身による噴火直後の空撮画像を中心に、報道機関や登山者が撮影した映像を解析して、その噴火活動の概要を明らかにした。まず火口位置、降下堆積物および火砕流の分布を明らかにした。火砕流の映像解析により、その流速を時速32km程度であると見積もった。加えて、弾道放出物の分布に注目し、4つに区分したゾーンの単位面積あたりの放出物の数を計測し、放出物は火口から最大950mまで到達していたこと、弾道放出物の飛行速度を最大毎秒111m程度であることを示した。さらに、これらの弾道放出物の集中放出が始まったのは,噴火開始の数十秒後であったと推論した。今回のような小規模な水蒸気噴火の調査研究では堆積物は火口近傍に限定して分布し、噴火後には降雨等により短期間に初生の堆積構造が乱される、あるいは堆積物が失われることが一般的である。そのために噴火直後の調査が必要ではあるが、研究者といえども火口域に近づくことは厳重に規制される。そのような中では、著者が注目した空撮画像やマスコミや目撃者が撮影した画像・動画は、噴火の推移やメカニズムを議論するための重要なデータである。本論文では噴火映像と噴火後の画像解析を結びつけて、複雑な噴火推移を復元することに成功した。その成果はひとつの水蒸気噴火の研究事例にとどまるだけでなく、筆者の手法により、噴火直後に、現地調査を待たずに、噴火概要が明らかにできることを示した点で、火山防災面でも高く評価できる。本研究でのデータ解析手法は、今後の他の火山噴火にも適用されるべきであろう。

以上の理由から、本論文を日本火山学会論文賞とする。

*『日本火山学会論文賞』は、雑誌「火山」あるいは「Earth, Planets and Space」に掲載された論文中、火山学に関する独創的で特に優れた論文の著者に授与される賞です。

 

第972回地震研究所談話会開催のお知らせ

下記のとおり地震研究所談話会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご来聴をお待ちしております。

日  時  平成30年6月22日(金)午後1時30分~
場  所  地震研究所 2号館5階第一会議室

1. 13:30-13:45
演題:衛星重力観測(GRACE衛星)で見た地震像の話
著者:○田中優作
要旨:重力観測衛星GRACEの後継機GRACE-FOが先月22日ついに打ち上がった。この機に、これまでのGRACE衛星の地震観測の成果について簡単に紹介する。

2. 13:45-14:00
演題:2相混合組織岩石の粒成長に基づく下部マントルの粘性率推定
著者:○岡本篤郎・平賀岳彦

3. 14:00-14:15
演題:GPUを用いた高速な粘弾性地殻変動計算手法の開発
著者:○Takuma YAMAGUCHI・Kohei FUJITA・Tsuyoshi ICHIMURA, Anne GLERUM (GFZ German Research Centre for Geosciences), Ylona van DINTHER (ETH Zurich), Takane HORI (JAMSTEC),
Olaf SCHENK (Universita della Svizzera italiana), Muneo HORI and Lalith WIJERATHNE
要旨: 地殻変動計算を対象とした3次元有限要素法へのGPU計算の導入について紹介する。

4. 14:15-14:30
演題:遠地地震によって誘発された深部低周波微動のマイグレーション【成果報告】
著者:○栗原亮・小原一成・竹尾明子、前田拓人(弘前大学)

○発表者
※時間は質問時間を含みます。
※談話会のお知らせが不要な方は下記までご連絡ください。

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1
東京大学地震研究所研究支援チーム
E-mail:k-kyodoriyo@eri.u-tokyo.ac.jp
※次回の談話会は平成30年7月20日(金)午後1時30分~です。

金子助教らが2018年度火山学会論文賞を受賞

金子、前野 深准教授、中田節也教授による下記の論文が、2018年度火山学会論文賞を受賞しました。

論文名:
Takayuki Kaneko, Fukashi Maeno, Setsuya Nakada (2016)
2014 Mount Ontake eruption: Characteristics of the phreatic eruption as inferred from aerial observations.
Earth Planets and Space, 68, DOI 10:1186/s40623-016-0452-y

受賞理由:
本論文では、社会的に注目を浴びた御岳2014 年噴火に関して、筆者自身による噴火直後の空撮画像を中心に、報道機関や登山者が撮影した映像を解析して、その噴火活動の概要を明らかにした。まず火口位置、降下堆積物および火砕流の分布を明らかにした。
火砕流の映像解析により、その流速を時速32km 程度であると見積もった。加えて、弾道放出物の分布に注目し、4 つに区分したゾーンの単位面積あたりの放出物の数を計測し、放出物は火口から最大950mまで到達していたこと、弾道放出物の飛行速度を最大毎秒111m 程度であることを示した。さらに、これらの弾道放出物は噴火開始後の数十秒間に集中して放出されたと推論した。今回のような小規模な水蒸気噴火の調査研究では堆積物は火口近傍に限定して分布し、噴火後には降雨等により短期間に初生の堆積構造が乱される、あるいは堆積物が失われることが一般的である。そのために噴火直後の調査が必要ではあるが、研究者といえども火口域に近づくことは厳重に規制される。そのような中では、著者が注目した空撮画像やマスコミや目撃者が撮影した画像・動画は、噴火の推移やメカニズムを議論するための重要なデータである。本論文では噴火映像と噴火後の画像解析を結びつけて、複雑な噴火推移を復元することに成功した。その成果はひとつの水蒸気噴火の研究事例にとどまるだけでなく、筆者の手法により、噴火直後
に、現地調査を待たずに、噴火概要が明らかにできることを示した点で、火山防災面でも高く評価できる。本研究でのデータ解析手法は、今後の他の火山噴火にも適用されるべきであろう。
以上の理由から、本論文を日本火山学会論文賞の候補として推薦する。

 

AOGS2018に出展

地震研究所は、2018年6月に開催されたAOGS2018(アジア・大洋州地球科学会) において、ブース展示をしました。地震研でされている研究の紹介や、国際招聘制度への応募呼びかけの他にも、今年から始まった展示場内でのInnovation Theater への参加もしました。Innovation Theaterは、展示場内での発表スペースで30分間のアピールが出来るというもので、地震研における国際共同研究などについて国際室の木下教授がお話しました(写真)。

ブースを訪れてくださった皆さま、どうもありがとうございました。

ERI had a booth at the exhibition hall in AOGS2018. Our recent research and people were introduced as well as call for entry to our International Visiting Program was done. We’ve also took part in “Innovation Theater” and prof. Kinoshita from International Office gave a talk.

Thank you for your visit!