【4月23-28】EGU2017に出展・同窓会

4月23-28日にオーストリアのウィーンで開催される、EGU 2017 General Assemblyにおいて、地震研はブースを出展いたします。ご参加される方は、ぜひお立ち寄りください。
また、会期中、これまで国際室の招聘制度を利用して地震研に滞在されたことのある共同研究者の方々との「同窓会」をブースにて開催する予定です。皆さまお誘い合わせのうえ、直接ブースにお越しください。

【ブースの場所】
Ground floor, Entrance hall, ブース#41
http://egu2017.eu/egu2017-exhibition-entrance-hall.pdf

【同窓会日時】
2017年4月25日(火)16:00-18:00
*事前連絡不要です。直接ブースにお越しください。

2017年3月「地殻変動観測の限界を超える」

ニュスレターPLUS25号の特集:「地殻変動観測の 限界を超える」の新谷昌人 教授

ついに完成した神岡鉱山地下の大型レーザーひずみ計。KAGRAと並んで設置されたこのひずみ計は、今までにない高い精度で地殻変動を携えることが可能とのこと。試験観測が2016年8月から開始され、その全貌について新谷教授よりお話がありました。

第958回地震研究所談話会開催のお知らせ

関 係 各 位

                             東京大学地震研究所長
小 原 一 成

第958回地震研究所談話会開催のお知らせ

 下記のとおり地震研究所談話会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご来聴をお待ちしております。

日  時  平成29年3月17日(金)午後1時30分~
場  所  地震研究所 2号館5階第一会議室

1. 13:30-13:45
演題: RSF則に基づいた地震の動的トリガリングの数値シミュレーション
著者: ○吉田真吾

2. 13:45-14:00
演題: 長期的スロースリップ域における重力観測と東海地方における暫定結果
著者: ○田中愛幸・今西祐一・大久保修平・渡邊篤志・安藤美和子、
国土地理院重力グループ(国土地理院測地部)
要旨: We report a preliminary result on the anomalous gravity changes detected during the long-term slow slip events in the Tokai area.

3.  14:00-14:15
演題: 日向灘における浅部超低周波地震の発生間隔
著者:○竹尾明子・小原一成
要旨: スロー地震の一種である超低周波地震について発生間隔の分布を通常の地震と比較する。

○発表者
※時間は質問時間を含みます。
※談話会のお知らせが不要な方は下記までご連絡ください。

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1
東京大学地震研究所研究支援チーム
E-mail:k-kyodoriyo@eri.u-tokyo.ac.jp
※次回の談話会は平成29年4月21日(金)午後1時30分~です。

マントルの異方性と上昇する流体:1891年濃尾地震発生原因との関係

飯高隆(1),平松良浩(2),濃尾地震断層域合同地震観測グループ
(1)東大地震研,(2)金沢大学

Earth, Planets and Space (2016)68:164
DOI 10.1186/s40623-016-0540-z

 1891年に発生した濃尾地震は,マグニチュード8というひじょうに大きな地震でした。日本の活断層で発生した内陸地震としては,観測史上最大規模の地震といえます。この発生原因を調べるために地震研究所は,全国の大学や関係機関と共同で臨時の観測点を展開し,様々手法を用いて解析をおこないました。この研究では,S波偏向異方性解析という手法を用いて,この地域の地殻やマントルの構造を調べることを行いました。

異方性というのは,地震波の伝播速度が伝播方向によって異なる現象を言います。S波偏向異方性解析は1つの振動方向の波が異方性媒質を伝播することにより,直交する2つの方向の波に分離する原理を用いて異方性構造を検出するものです。マントルの異方性構造を調べることによって,マントル内の対流の方向や不均質構造を知ることができます。日本列島の下には,太平洋プレートが東から西に向かって沈み込み,西日本においてはフィリピン海プレートが沈み込んでいます。これらのプレートが沈み込むことによってマントル対流がおこることが知られています。濃尾地震断層域下のマントルの異方性を調べると,フィリピン海プレートが沈み込んでいる北東側では,北東-南西方向の異方性が観測され,太平洋プレートの沈み込みが卓越している南側では東北東-西南西方向の異方性が観測されました。これらの異方性は,フィリピン海プレートや太平洋プレートの沈み込みに関係するマントルの対流によって説明できました。しかしながら,濃尾地震断層域では東南東-西北西方向の異方性が観測され,沈み込む海洋プレートが引き起こすマントルの流れでは説明できませんでした。この地域では,他の研究グループの研究により,地殻やマントルに地震波の伝播速度のひじょうに遅い領域や電流が流れやすい低比抵抗域が検出されています。今回観測された異方性の領域と,低比抵抗である領域が存在する場所がよく一致します。これらのことから,この異方性がマントルを上昇する流体によって作り出された不均質構造によるものとすると,観測結果を説明することができました。このようなマントルを上昇するマグマや流体によって引き起こされる異方性構造については,これまでに他の地域においても観測されています。今回の観測結果も,沈み込むプレートから脱水した水によって不均質構造が形成され,そのために異方性構造をもつようになったと考えると観測データをよく説明できます。

これまでに発生した内陸地震の解析から,活断層によって引き起こされる内陸地震は断層域近傍に存在する水によって引き起こされるという説が提唱されており,多くの地震発生域において地殻下部に存在する流体の証拠が示されてきています。この研究は,これらの成果と調和的で,1891年の濃尾地震の発生もマントルから排出した水が断層下部に到達し,その水が地震発生に大きく関係していることが考えられます。

1891年濃尾地震の震源域下の構造とS波偏向の概念図
1891年濃尾地震の震源域下の構造とS波偏向の概念図

レプリカ交換モンテカルロ法による地震動イメージング手法の開発

加納将行(1)、長尾大道(1,2)、石川大智(2)、伊藤伸一(1)、酒井慎一(1)、中川茂樹(1)、堀宗朗(1)、平田直(1)

(1)東京大学地震研究所 (2)東京大学大学院情報理工学系研究科

Geophysical Journal International (2017), 208 (1), 529-545, doi: 10.1093/gji/ggw410

 巨大地震が発生した際に、都市部における構造物の揺れを即時的に評価することは、構造物の被害の推定だけでなく、地震後の迅速な復旧活動や二次的な災害の軽減につながります。構造物の揺れの計算には、基盤面における地震動が入力となりますが、都市部において密集しているすべての構造物において地震動を観測することは困難です。しかしながら、関東地方では、首都圏における地震像の解明を目的として、2007年度以降、首都圏地震観測網(MeSO-net)が整備されています。都心部を中心に数kmの観測点間隔でおよそ300点の地震計が設置されており、稠密な観測網の一つといえます。本論文では、今後MeSO-netで得られた観測記録を利用することを念頭に、限られた地震観測記録から、レプリカ交換モンテカルロ(REMC)法により観測機器のない場所での地震動を推定する手法(「地震動イメージング」手法)を開発しました。さらに、数値計算に基づいて提案手法の有効性を検証しました。

本論文では、地震波伝播の数値シミュレーションに必要となる地下構造と震源に関する情報を未知のパラメータとし、REMC法を用いて観測波形を定量的に説明可能なパラメータを推定しました。推定したパラメータを用いて地震波伝播の数値シミュレーションを行うことで、任意の場所における地震動を計算することが可能になります。

REMC法は、未知のパラメータの確率密度関数から実現値を得るマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法の一手法です。MCMC法の中でも一般的に使用されているメトロポリス法に比べて、効率的に広範囲のパラメータ探索を行うことが可能な手法のため、パラメータが複数の局所的な解を持つ場合に、強力な手法です。本論文で行う地震動イメージングは、複数の局所的な解を持つ例であり、REMC法が有効であると考えられます。REMC法を用いた地震動イメージング(中央左図)により、メトロポリス法(中央右図)による結果に比べて、より真の波動場(左図)に近い地震動が得られることが分かりました。また、従来用いられた観測データのみを用いた補間法(クリギング法、右図)と異なり、波動方程式や地下構造・震源情報といった物理的な拘束条件を加えることが可能になり、REMCを用いて、より現実的な波動場のイメージングを行うことが可能になりました。今後、本手法をMeSO-net観測波形に適用することで、首都圏における将来の地震発生時の応急的な被害評価や二次災害の軽減につながることが期待されます。

本研究は文部科学省受託研究費「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の一環として行われました。

図:地震動イメージング結果の比較。左図は真のパラメータで計算した波動場で、三角印で示した観測点における波形のみを観測波形として使用し地震動イメージングを行う。中央左、中央右、右にそれぞれREMC法、メトロポリス法、クリギング法で推定した地震動イメージング結果を示す。

AGU2016に出展

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地震研グッズを手にする来訪者。今回は日本震源地図の英語版が初お披露目でした。 (撮影:木下正高教授)

地震研究所は、12月に開催されたAGU2016(米国地球物理学連合)Fall Meeting においてブース展示をし、多くの来訪者で賑わいました。
地震研で今されている研究や教員の紹介、国際室の招聘制度への応募呼びかけなどがされました。
写真はブース来訪者と話す国際室の室長。

ブースを訪れてくださった皆さま、どうもありがとうございました。

 

 

ERI had a booth at the exhibition hall in AGU2016. Our recent researches and people were introduced as well as call for entry to our International Visiting Program was done.

Thank you for your visit!