JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)
最終日には、ポスター発表が所内でされた。
Poster presentation on the last day.
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)
最終日には、ポスター発表が所内でされた。
Poster presentation on the last day.
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)により、2015年7月5日-25日の期間、10名の参加者が来所しました。 10名の所属は、中国の北京大学 3名、中国科学院大学 1名、台湾の国立中央大学 2名、国立成功大学 1名、韓国の延世大学 1名、漢陽大学 1名、インドのインド工科大学カンプール校 1名です。
写真は仙台・三陸への巡検で、陸前高田「奇跡の一本松」を訪問した際の集合写真
JST: Sakura Science Plan,held from 5-25th July. 10 students from China(USTC/PKU), Taiwan(NCU), Korea(Yonsei.U/Hanyang.U) and India(IIT Kanpur)visited ERI.
Field trip to Tohoku: Picture taken in front of the “miracle pine tree” in Rikuzentakada.
地球計測系研究部門の加藤照之教授が、「2014年度衛星通信研究賞」を受賞 しました。
「衛星通信研究賞」は、衛星通信研究専門委員会において行われた講演のうち、特に優秀であり 今後の活躍が期待できると認められた講演論文に対して、一般社団法人電子情報通信学会より表彰がされる賞です。(衛星通信研究賞規約より一部抜粋)
受賞対象論文:「技術試験衛星VIII型(ETS-VII)を用いた海上ブイからのデータ伝送実 験~津波の早期検出をめざして~」
著者:山本伸一、川崎和義、寺田幸博、加藤照之、橋本剛正、本橋修、齊田優一、松澤亮
抄録:津波を早期に検出することで人的被害を軽減することを目指し,海上に設置されたブイから津波の情報を衛星経由で伝送する実験を行った.実験は,準天頂衛星「みちびき」を用いてブイ上のGPS津波計に補強情報を伝送し,ブイ上で津波の検出が可能な精度で精密単独測位を行い,技術試験衛星Ⅷ型(ETS-VIII)「きく8号」を用いて地上の基地局に測位結果を伝送する.本実験で,データの伝送に衛星を用いることで岸から遠く離れた沖合から津波情報を収集することができ,津波の早期検出が可能となることを実証した.
科学研究費補助金(特別研究促進費)「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」(代表 愛媛大学大学院・教授 矢田部龍一)の一環として、余震観測の実施に当たり、東京大学地震研究所はネパール科学技術院(Nepal Academy of Science and Tecnology)と国際交流協定(MOU)を締結いたしました。
地震研究所は、2015年ネパール・ゴルカ地震の余震観測において、共同研究を行う予定で、今後もネパール科学技術院との地震関係分野での共同研究を推進していく予定です。
科学研究費補助金(特別研究促進費)の「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」においては、震源域において30地点の稠密余震観測を行い、余震分布・地震波速度構造を基に震源断層の形状を明らかにします。ネパール科学技術院を通じて、トリブバン大学の研究者との共同研究となります。
地球計測系研究部門の田中愛幸助教が、今夏プラハで開催された2015年国際測地学・地球物理学連合(IUGG)総会において、Guy Bomford賞を受賞した。
同賞は、国際測地学協会(IAG)が、測地学分野の世界の40歳以下の研究者から4年に1度、1名を選んで授与しているものであり、測地学の若手研究者にとって最高の賞である。日本人としては3人目の受賞となった。地球ダイナミクス・広域テクトニクス・氷河性地殻均衡(GIA)の分野における優れた理論的・観測的研究により、測地学・地震学にまたがる学際的研究領域を開拓した功績が認められた。授与式は、6月25日のIAG学術総会開会式の中で行われ、それに引き続き、田中助教による記念講演が行われた。また、IUGG総会の閉会式でも、田中助教の受賞が大きく取り上げられた。
For details visit :International Research Promotion Office
木下佐和子、五十嵐俊博、青木陽介、武尾実 (東京大学地震研究所)
J. Geophys. Res. Solid Earth, 120, doi:10.1002/2014JB011522.
レシーバ関数解析による富士山の地下構造について
富士山は、日本の代表的な活火山であり、2つの大きな特徴をもっています。まず、マグマの噴出量が1000年で約5立方キロメートルで、日本の他の火山と比較すると数倍~数十倍大きくなっています。さらに、最近10万年間は主に玄武岩質のマグマを噴出しつづけています。
富士山がこのような性質を持つ理由のひとつとして、富士山が複雑な場所に位置していることが考えられます。富士山の下には、南からフィリピン海プレートが沈み込み、その下約100kmの深さでは、東から太平洋プレートが沈み込んでいます。そして、富士山下で沈み込んでいるフィリピン海プレートは普通の海洋プレートではなく、それ自体が太平洋プレートの沈み込みによってできた島弧で地殻が厚くなっています。この島弧は伊豆半島からマリアナ諸島まで続く火山列島で、伊豆-ボニン-マリアナ島弧(IBM弧)と呼ばれており、伊豆半島で本州と衝突し、地下深部へと沈み込んでいます。富士山のマグマは太平洋プレートが沈み込むことで生成されて上昇し、その途中でIBM島弧を通り抜けています。このような火山は非常に珍しく、地下深い部分から浅い部分へとマグマが供給される方法が他の火山と異なる可能性があります。従って、富士山のマグマの供給経路がどのようになっているのかを解明することにより、富士山の持つ2つの特異な点を説明することができるかもしれません。この研究は、富士山のマグマ供給系を解明するために、遠地地震波を使用するレシーバ関数解析によって、富士山下に沈み込むIBM島弧の構造を含めた地下構造を明らかにすることを目標にしています。
まず、2002-2005年に発生した遠地地震の中からSN比の良い221イベントを選び、富士山周辺の159個の地震観測点で観測された遠地P波の波形を使用して、レシーバ関数を計算しました。その後得られたレシーバ関数の振幅を様々な断面に投影し、速度の境界面の深さを見積もりました。図1は富士山を通る南北断面におけるレシーバ関数の振幅です。この図から、富士山下約40-60kmの深さに南北に沈み込む強い正の速度境界面があり、富士山直下でその境界面は不連続になっていることがわかります(図1の白線と白矢印)。また、富士山下で低周波地震が発生する領域の下、およそ25kmの深さに顕著な速度境界面があることもわかりました(図1の白線)。
沈み込む前のIBM弧の地下構造を調べた研究によると、IBM弧の下部地殻の下には地殻の成長に伴なって生成された苦鉄質な岩石の層が存在し、その層と最上部マントルの境界面は玄武岩質の火山島下で約35-40kmの深さにあります(例えばKodaira et al. 2007など)。そのため、図1で見つかった40-60kmにある速度境界面は最上部マントルの上面をあらわしていると考えることができます。また、この境界面が富士山直下で不連続になる場所を通過する場所(図1の白矢印)のレシーバ関数をスタックすると、約50kmの深さに負の振幅がみられたことから、この不連続の領域では上部マントルとの正の速度境界面が局所的に弱くなっていると考えられ、太平洋プレートから上昇してくるマグマが、この部分を通過して上昇している可能性があります。
次に富士山近傍の観測点で得られたレシーバ関数に対してグリッドサーチで地震波速度構造を求めたところ、富士山下13kmから26km付近に低速度層が必要であることがわかりました(図2)。先行研究の結果などと比較することにより、この低速度領域は富士山のマグマ溜まりをあらわしていると解釈しました。レシーバ関数の断面図で見つかった富士山下約25kmの正の速度境界面は、マグマ溜まりの底面をあらわしていると考えることができます。以上の結果をまとめて、富士山の地下は図3のようになっていると解釈しました。今後、レシーバ関数のインバージョン解析などをすることによって、さらに詳細な地下構造がわかるようになると、考えています。
参考文献
Kodaira, S., T. Sato, N. Takahashi, A. Ito, Y. Tamura, Y. Tatsumi, and Y. Kaneda (2007), Seismological evidence for variable growth of crust along the Izu intraoceanic arc, J. Geophys. Res., 112, B05104, doi:10.1029/2006JB004593.
Nakajima, J., F. Hirose, and A. Hasegawa (2009), Seismotectonics beneath the Tokyo metropolitan area, Japan: Effect of slab-slab contact and overlap on seismicity, J. Geophys. Res., 114, B08309, doi:10.1029/2008JB006101.
Nakamichi, H., H. Watanabe, and T. Ohminato (2007), Three-dimensional velocity structures of Mount Fuji and the South Fossa Magna, central Japan, J. Geophys. Res., 112, B03310, doi:10.1029/2005JB004161.
ウェブサイト立ち上げ:2015年6月18日
最終更新日:2015年6月26日
6月16日の午前、浅間山で小規模な噴火活動がありました。
(火山噴火予知研究センター:武尾 実)
浅間山火口内の様子
◎ 2015年5月23日と2015年6月24日の火口周辺
2015年5月23日と6月24日の2回にわたり,群馬県の防災ヘリにより浅間山火口上空からの調査を行った.6月16日のごく小規模な噴火を挟んでの火口周辺の様子を,ほぼ同じ方角から撮影した写真で比較する.
火口内の広い領域から火山ガスや噴気が噴出している様子が判る.4月1日から6月22日までの火山ガスの噴出を示す地震(VLP)の数(左の軸:赤)及びその日別積算振幅(右の軸:青)を示したのが,図1であるが,この図からも火山ガスの噴出が6月10日頃から急増している様子が見て取れる.
浅間山の火口内部の中央には2009年2月の噴火以降,噴気孔が空いて,そこからVLPが起こった後に火山ガスが噴出する様子が観測されている.この噴気孔周辺を拡大した写真を次に示す.噴火前後のどちらの写真も,ほぼ同じ方角から同じ倍率で見たもので,赤い四角で囲んだ部分が火口西観測点である.噴気孔周辺の目立った噴石を赤丸で囲んで示しているが,これらの位置に変化はない.また,噴気孔周辺の黒く変色している部分は前日の降雨による変色の可能性もある.噴気孔周辺部を拡大してみると,火山灰と思わしきものが積もったとみられる場所もあるがごく少量で,6月16日の噴火では噴気孔周辺には大きな変化はなかったと言える.
次の写真は,この噴気孔から薄い有色噴煙が勢いよく出ている様子を捉えたもので,この様に噴気孔から断続的に火山ガスの噴出が継続している.
(火山噴火予知研究センター・観測開発基盤センター・地震火山噴火予知研究推進センター)
浅間山2015年6月16日噴火に関する各種観測データの比較
東京大学地震研究所は浅間山で、各種地球物理観測を行っている。2015年6月16日噴火に関する様々な観測データのうち、火口近傍で得られたものを比較した。
内容
1.西側火口縁に設置した赤外カメラ観測による火口内の温度変化
2.火口近傍に設置した、広帯域地震計の記録から見た地震活動
3.画像、地震記録、空振記録の比較による、噴火開始時刻の推定
4.広帯域地震記録と可視画像の比較による、地震動発生と噴煙放出の関係
5.傾斜記録による、変動源の位置の推定と、噴火開始のタイミング
観測点の位置
赤外カメラが捉えた火口内温度変化
広帯域地震計が捉えた噴火前後の地震活動
図3 火口西観測点に置ける、6/16 1日分の地震波形(上下動)。1トレースが10分間に相当する。噴気放出に前駆する地震動のうち、振幅や継続時間が比較的大きなものを赤矢印で示す。噴火開始推定時刻(8:50)以降14:30頃まで、比較的高周波の微動振幅が大きい状態が続く。その後しばらくの間、地震活動がやや低下するが、16:00頃から再び、噴気放出に伴う地震が活発に起きるようになる。
この地震活動の変化は、赤外カメラによる火口内の温度変化(図2)や空振の活動と対応している。
画像、地震記録、空振記録の比較による、噴火開始時刻の推定
図4 地震波形と、画像・空振データの比較。
8:49までの赤外画像では目立った変化はないが、8:50の画像では高温部が広がり、8:51の画像で300℃を超える高温度域が現れる。この2つの画像間で噴火が起きたと考えられる。
8:50:47秒に火口東西で振幅数Paの空振が記録されている。火口底から観測点までの空振伝播時間は1秒程度であるから、ほぼこの時刻が噴火開始時刻と考えられる。
地震記録と可視画像の比較による、地震動発生と噴煙放出の関係
図5 火口西カメラによる、可視画像の1分間隔のスナップショット。有色噴煙がはっきり見える画像を赤枠で囲った。下段は、6/16 9:00~9:40の火口西地震計の上下動成分。赤線は、赤枠をつけた画像の時刻に対応する。赤破線は噴煙の色がやや有色の見えた時刻。
パルス状の長周期地動(オレンジ)発生から3-4分遅れて火口底の噴気孔から有色噴煙が放出されることがわかる。各画面左寄りの白い噴煙は火口底北寄りのき裂から定常的に放出されている噴気で、地震動との対応は特にない。
傾斜記録による、変動源の位置の推定と噴火開始のタイミング
図6 火口東観測点の傾斜記録。上段:6/16 3:00-21:00まで18時間分の記録。下段:7:00~12:00を拡大したもの。赤い線は東西成分で上向きの動きは東下がりを示す。 緑の線は南北成分で下向きの動きは南下がりを示す。2成分の振幅比から傾きの方向は観測点から見て東南東であることがわかる。これは、火口内の北側付近が上がることに対応する。
パルス状の変化は、長周期地震の発生に対応しており、地震発生とともに火口内が急速に収縮しゆっくり戻る動きを繰り返していることが分かる。このような階段状の変化を繰り返しながら、火口方向の膨張が続いている。
拡大図を見ると、8:30分のパルス状の傾斜変化は8:50頃までにほぼ回復しているが、8:50に起きたパルス状変化の後は回復していない。このことから、8:30には山上がりの傾斜が始まっていたものの、動きが加速したのは8:50からであり、空振などから見た噴火開始時と調和的である。
(火山噴火予知研究センター:市原 美恵)
浅間2015年6月16日微噴火に伴う空振活動
【空振波形】
浅間山頂火口の東西観測点で捉えた,空振波形の先頭部.火口に近い方のKAW 観測点における波の立ち上がりは,8時50分47秒.同じ場所に設置されている熱赤外カメラの1分間隔の画像データで,最初に噴出が見られたのは,8時 51分であったことから,これが噴火開始時の空振であると考えられる.空振波形の見やすい、1~7 Hz でバンドパスフィルターをかけている.
火口の縁で 3 Pa 程度というのは,噴火に伴う空振としては非常に弱い.例えば,現在,東京の南の西之島火山が活動を続けているが,この活動による空振が,130 km 離れた父島でも 1 Pa 以上の振幅で計測されることがある.
【噴火初期の微動と空振の振幅変化】
地震上下動(赤:火口西,緑:火口東)と空振(青:火口西,ピンク:火口東)の振幅変化.パルス状の強い波の影響を抑え,連続的な振動の振幅を見るた め,5秒の時間窓で平均二乗根を計算し,さらに30秒間の中央値を取った.周波数帯域は1-7Hz.8:10頃,噴火に先立ち,微動(地震)の振幅が増 加.噴火の発生した8:51頃より,空振の振幅が増加.地震,空振とも振幅は10分くらいの周期で変動するが,9:20頃から振幅の大きい状態が続いてい る..
【微動・空振と熱赤外画像】
2015年6月16日の微動と空振の振幅変化と火口西観測点の熱赤外画像の対応を示す.熱赤外画像の温度範囲は0℃(紺)~300℃(白).画像の 黄色い枠の範囲で,水平各行ごとに温度最大のピクセルを選び,縦一列の温度データを作成する.それを,1分間隔の画像ファイルについて時間ごとに横に並べ 火口周辺の温度の時間変化を調べた.噴火開始前は,火口のみが高温で噴出のないため,熱赤外画像の下部のみが高温色になっている.噴火が始まると,図の上 部まで高温部が到達し,最高温度も高くなる.噴火が始まってから,火口部分にもまったく高温部が見えなくなる期間があるが,これは,噴煙に隠されて見えな くなったと考える方が妥当だろう.19時以降は図の上半分は低温の状態が続いている.この頃には,微動・空振の振幅も低下しており,噴出は弱まったようで ある.
同様の解析を,2015年6月16日と17日の2日間について行った.微動・空振の振幅変化(a)と熱赤外画像(b)は,前の図と同様.また,振幅だけでは,微弱な波の有無が判別できないため,火口東西の空振計データの相互相関係数(c),および,火口東の地震上下動と空振データの相互相関係数(d)を調べた.火口から空振が伝播すると,火口東西の観測点の距離の違いから,(c)では、赤の帯が縦軸0.2s付近に見える.また,(d)では,空振に対する地面の応答の性質から,縦軸ゼロ付近の上が赤,下が青のパターンが見える.17日の夜には,火口西観測点の風のノイズが大きくなりかき消されがちであるが,空振は継続して発生していることが分かる.しかし,地震,空振,熱赤外画像のデータを総合すると,噴煙噴出を伴うような活動は,6月16日の8:51分から19時頃までであったと考えられる.
(東京大学地震研究所・早稲田大学教育総合科学)
■浅間山2015 年6 月16 日噴火火山灰の観察結果【PDF411KB】
ウェブサイト立ち上げ:2015年6月1日
2015年5月29日、鹿児島県屋久島町 口永良部島 新岳で噴火が発生し、気象庁より噴火警戒レベル5が発表されました。
(東京大学地震研究所・京都大学防災研究所)
無人ヘリによる口永良部島地震観測の暫定結果
口永良部において、無人ヘリを用いて山頂付近4か所に地震計を設置し、4/17から5/29 9:59の噴火により破壊されるまでの山頂付近での地震データが得られた。図1にヘリコプター離発着場所(■)と観測点位置(●)を示す。
地震計(図2)は太陽電池で駆動され、センサー部は4.5Hzの短周期速度計(上下動)である。
これを、ヘリコプターで設置位置上空まで運び、ウインチで地表まで降下させて設置する(図3)。
携帯電話通信網を用いて10分おきにデータを送信する。各観測点の最終データの時刻は、9:47~9:52であるが、この時間帯に機器が破損したわけでなく、噴火前に行った最後の通信時刻を反映している。
地震計の設置は、ヘリからウインチで降下し地面に置くだけなので地面とのカップリングが十分でない。更に、風によるノイズやフレームの共振の影響もあり、高周波側のデータはSNが悪い。
2つの観測点EV.E1とEV.E2のフィルター無し記録を比較すると、地震数に大きな差があるように見える(図4)。しかし、8Hzのローパスフィルターを掛けると、ノイズの多くが除かれて両者の地震発生状況は概ね一致する(図5)。
5/1から、噴火前までのデータに対し、8Hzのローパスフィルターを掛け、STA/LTA=5 を超えたイベントを自動検出した結果を下に示す(図6)。
5/4~5/7 と 5/19~5/22 には山頂での地震数がやや増加した。5/23は島内で震度3となる有感地震が発生したが、山頂観測点での計測数はそれほど増えていない。5/25以降噴火前までは地震数が大きく増加している。
5/29の計測数が減っているのは、噴火により機器が壊れたことにより噴火時以降のデータが無いことと、地震数が急増すること無く噴火に至ったことが一因と推定される。
山頂付近の地震活動は、5/24まではあまり変化していなかったが、噴火が近づくにつれて活発になっていることは、熱源が浅部へ接近したことを反映している可能性がある。
なお、この結果は自動検測結果に基づく暫定的なものであるから、今後の詳細な検討によって結果が変わる可能性があることに留意する必要がある。