入力波動場に基づく、水辺における地盤ー建物相互作用解析

Masahiro Iida

International Journal of Geomechanics, American Society of Civil Engineers, 18(6), Paper No. 04018053 (2018).

DOI: 10.1061/(ASCE)GM.1943-5622.0001168.

既存の方法で構造物の応答解析を実施すると、説明できないことがたくさんあります。その最大の原因は、構造物の応答解析法において、地震波動を適切に考慮できていないことです。そこで、図に示すように、深い地下構造内に適切な波動状態を実現して、地盤と建物の相互作用解析を実施する方法を開発しています。

地盤や建物の地震被害が、沖積平野の川沿いや海辺に集中することは、よく知られています。けれども、こうした地震被害を合理的に説明した研究が、これまではありませんでした。多方面にわたる要因を扱うとともに、水中を伝播する波動としない波動の考慮が必要な、困難なテーマだからです。

現在の研究は、適切に評価した波動状態における地盤と建物の相互作用解析法を、水の効果を考慮できるように拡張したものです。東京湾の埋立区域(水辺)において、中層の鉄筋コンクリートビルに解析法を適用して、水辺では地盤や建物の応答(地震被害)が大きくなることを説明しました。

水中を伝播する波動としない波動があるので、陸上と水中の境界部分においては、さまざまなギャップが生まれます。そのため、境界部分に近い地盤では、歪や応力が大きくなり、建物の応答(地震被害)が大きくなるのです。

3つの想定ケースに対して使用された、3次元の上部構造ー基礎ー杭ー地盤系の平面図と側面図。波動状態を評価するための深い地下構造も表示されている。

関連論文