着任セミナー(2020年11月6日)大園真子氏(地震火山噴火予知研究推進センター 准教授)

タイトル:GNSS観測から見る内陸スロー地震,日本海・東シナ海横断広域地殻変動

要旨:
日本国内の浅部の群発的な地震活動に伴う非地震性すべりの検出の試み,広域地
殻変動解析のための日本海・東シナ海横断GNSSデータ解析予備結果の2つについ
て紹介する.北海道北部の稠密GNSS観測網から,2012年7月-2013年1月の期間に
群発的な地震に伴う浅部での非地震性すべりと思われるイベントを検出した.断
層モデルを仮定すると,Mw5.4相当になる.内陸部でのこのような非地震性すべ
りを捉えるのは珍しい.そこで他にも事例ないか,群発的な地震活動域に着目し
て,同様の非地震性すべり発生の可能性について気象庁一元化震源とGEONETの日
座標解を使って検討した.2012年道北のイベントほど顕著なものは見つからな
かったが,地震活動に伴う一時的な非定常地殻変動がある地域もありそうだとい
う感触を得た。一方,北海道北部はプレート境界の位置が明瞭ではない.これを
議論するためにはより広域の地殻変動に着目する必要がある.現在,中国ロシア
との共同研究で日本海・東シナ海を横断するGNSS観測点を結んだ地殻変動解析に
取り組もうとしている.その予備解析の結果として,海を越えて結んだ基線長変
化を見ると,2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動による伸びなど,地域毎に
特徴が見られたので,それについて簡単に紹介する.