金曜日セミナー (2022年7月8日) 高本将男(理研)

題目:光格子時計で実現する新たな時間計測と相対論的測地応用
要旨:
高精度な原子時計は、精密分光学、基礎物理定数の恒常性の検証などを通して基礎物理学に貢献するだけでなく、全球測位衛星システムや高速大容量ネットワークの同期など、社会インフラの中核としても重要な役割を果たしてきた。光格子時計は、極めて高い正確性と安定性を兼ね備える次世代の時間・周波数標準であり、現在の秒を定義するセシウム原子時計を2桁上回る18桁の確度を実現した。このような18桁の確度を持つ超高精度な時計は、高低差1 cmに相当する重力赤方偏移を検出することができ、相対論的な時間遅れを利用して標高を計測する新たな測地技術として利用できる可能性がある。本発表では、光格子時計の開発および相対論的測地技術への応用について紹介する。