金曜日セミナー(TBA)山本由弦(神戸大学)

題目:房総半島におけるOut-of-sequence thrustの側方追跡

 

アブストラクト:

三浦・房総半島の中軸部には、Trench-slope breakとして機能している葉山-嶺岡構造帯の南側にOST(Out-of-sequence thrust)で区切られた2つの付加体:下部〜中部中新統の保田付加体(最高被熱温度約60-80℃、最大埋没深度2-4km)と上部中新統〜下部鮮新統の三浦房総付加体(それぞれ20-40℃、1 km程度)が発達しており、これらが海溝斜面堆積物に不整合に覆われる付加体システムを形成している。我々は、従来推定断層でしかなかったこのOST(石堂断層)の断層露頭を見いだし、その断層内部に摩擦熔融の痕跡を見いだした。当該断層下盤の最高被熱温度を考慮すると、地震性すべりが沈み込み帯の浅部まで伝播したことを示している。地震時の強震動や津波高予測に不可欠な断層の姿勢と運動像の空間分布を探るべく、宇宙線ミューオン観測のための断層掘削を実施した。今回は、これまでに得られたコアの構造的特徴を報告する。