【受賞】前野深准教授、中田節也教授、金子隆之助教らが日本火山学会論文賞を受賞

前野深准教授、中田節也教授、金子隆之助教らによる論文が、日本火山学会論文賞を受賞しました。受賞式は、日本地球惑星科学連合2017年大会中の5月22日に、幕張メッセ国際会議場にて開催されました。

対象論文:Fukashi Maeno, Setsuya Nakada, Teruki Oikawa, Mitsuhiro Yoshimoto, Jiro Komori, Yoshihiro Ishizuka, Yoshihiro Takeshita, Taketo Shimano, Takayuki Kaneko, and Masashi Nagai (2016) Reconstruction of a phreatic eruption on 27 September 2014 at Ontake volcano, central Japan, based on proximal pyroclastic density current and fallout deposits. EPS, 68, doi 10:1186/s40623-016-0449-6.

受賞理由:本論文では、社会的に注目を浴びた御嶽2014年噴火に関して、火口近傍堆積物の火山地質学的解析に、実際の噴火映像も加味して、噴火過程を明らかにした。まず堆積物を3つに区分し、それらが下位から比較的乾いたPyroclastic density current (PDC)堆積物、最大規模の湿った降下堆積物、そして最上位の降下火山灰からなることを明らかにした。このことからまず乾いた条件下で火道形成に伴うPDCが発生し、その初速は24–28m/sであると推定した。そしてその後に火道が発達し、湿った噴煙柱が形成され噴火最盛期を迎え、その後に噴火活動が衰退したという推移を明らかにした。この初期の火道形成及び最盛期の火道発達時期を通じて、弾道放出物が発生していたことも示した。今回のような小規模な水蒸気噴火については、これまでは研究者の注目を浴びることは少なかったが、防災面を考えると、発生機構や噴火推移について明らかにする必要がある。本論文では火山地質学的手法と噴火映像解析を結びつけて、小規模で複雑な噴火推移を復元することに成功した。この成果は水蒸気噴火の研究において重要であるだけでなく、火山防災面でも重要であり、他の火山での同様の噴火研究の発展が期待できる。

井口正人日本火山学会長と前野准教授(@5/22幕張メッセ国際会議場)

 

 

 

日本火山学会論文賞賞状

日本火山学会論文賞は、雑誌「火山」あるいは「Earth, Planets and Space」に掲載された論文中、火山学に関する独創的で特に優れた論文の著者に授与される賞です。