3.12.6 巨大地震・津波の研究

津波データや測地データ,地震データを用いて,世界の巨大地震の断層運動の詳細や津波の発生過程について調査している. 2020,2021年アラスカ沖地震(Mw 7.8,8.2),2021年ケルマデック地震(Mw 8,1, 7.4)について,主に津波データから断層面上のすべり分布の推定を行った. 2022年1月にトンガ諸島で発生した火山噴火による津波について,日本周辺や太平洋の津波記録の解析をおこなった.1994年ミンドロ地震(フィリッピン)による津波は主に海底地すべりによるものであったこと,2015年須美寿カルデラで発生した地震(鳥島地震,Mw 5.7)は火山性の津波地震であり,トラップドア断層と呼ばれるメカニズムによるものであったことを明らかにした.

日本海東縁部で20世紀に発生した大地震について,日本海地震・津波プロジェクトで得られた断層モデルからの津波波形を観測波形と比較して,起震断層を推定した.また,断層パラメータの相似則やすべり角の不確定性が確定論的津波予測に及ぼす影響について調べた.