3.11から10年 -地震研究の記録-
東日本大震災10周年特集ページについて

 2011年3月11日に発生した東日本大震災は,主に津波によって約2万人の犠牲者を出し,東京電力福島第1原子力発電所の事故により現在でも約4万人の方が避難生活を送っておられます.
 東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震(M9.0)は,日本の地震観測史上で最大の規模でした.この地震は,世界で発生した巨大地震の中で最も詳しく観測され,研究された地震でもあります.日本列島や海底に設置された観測機器によって,地震時,さらにはその後10年経っても継続している地殻変動が記録され,それらは地震研をはじめとする,全国・全世界の研究者によって調べられています.
 この特集では,2011年からの10年間に主に地震研の研究者によって調べられた研究について,過去の「最近の研究から」などを再掲する形でまとめました. 500年あるいは1000年に一度ともされる超巨大地震について,この10年間でどのような研究がなされ,どこまでわかってきたのかを知って頂けると幸いです.

 所長 佐竹 健治


2012/10以降に、「最近の研究から」で紹介した東北地方太平洋沖地震に関する研究、及び観測データを用いた研究:

2020/11/20大地震の発生過程
2020/09/11日本周辺における超低周波地震活動とプレート境界のカップリングとの関連性
2020/09/01三陸沖光ファイバーケーブルを振動センサーとして用いた海洋性堆積層の探査
2020/03/06北海道・東北地方太平洋沖における、超低周波地震の網羅的検出
2019/03/182011年東北沖地震の地震波到達前に観測された重力変化
2019/03/122011年東北沖地震の前後に発生した応力異常
2018/01/04海洋アセノスフェアの「柔らかさ」を観測する新たな手段
2017/09/04首都圏地震動イメージング
2017/08/21本震断層面上の余震生成効率の不均一性
2016/10/21地震波勾配法による2次元地震波動場の再構築
2016/07/15スロー地震の巨大地震との関連性
2014/08/28地球の自己重力と弾性が引き起す遠地津波の走時遅延と初期反転位相
2013/06/03津波波形からみた2011年東北地方太平洋沖地震のすべりの時空間分布
2012/12/28余震活動から描き出された2011年東北地方太平洋沖地震の大滑り域
2012/10/10マグニチュード9クラスの2011年東北地震や2004年スマトラ地震に先行した10年スケールのb値低下

東北地方太平洋沖地震の時の地震研究所1号館の免震装置の「けがき計」の記録

写真提供:宮川 幸治 技術職員

免震建物に設置された金属棒が、地面に置かれたアルミ板にひっかき傷をつけることで、建物と地面の相対的な動きが記録される。けがき記録は、建物が南北方向に約6センチ、東西方向に5センチの大きさで何度も動いたことを示している。このほか、建物内外に設置された地震計記録の解析からも地震時の建物の挙動が詳細に確認された。 

(古村 孝志 広報アウトリーチ室長)