長周期地震動の模型

長周期地震動の模型

様々な周期をもつ揺れ(地震動)を視覚的にみることができる模型です。
規模の大きい地震が発生すると、周期の長い ゆっくりとした大きな揺れが生じ(長周期地震動)、高層ビルは長く大きく揺れます。

■使い方・地震の揺れと建物の共振実験についての説明書(PDF)

(分解して持ち運び可能)

世界震源地図(英)とペンタグローブのデータを更新

東京カートグラフィック社と共同で製作している「震源地図」シリーズのうち、「世界震源地図英語版」および「ペンタグローブ(ペーパークラフト地球儀)」を、この度データ更新いたしました。「世界震源地図英語版」は2011-2017年、「世界震源地図ペンタグローブ」は、2009年から2017の間に起きたM5以上の地震がプロットされています。

このシリーズの「世界震源地図クリアファイル」が、将棋の史上最年少プロ藤井四段に師匠の杉本七段から誕生日プレゼントとして贈られたことが最近話題となりました。藤井四段も使っている世界震源地図クリアファイルは、東京カートグラフィック社(https://www.tcgmap.jp/product/)またはUTCC(https://utcc.u-tokyo.ac.jp/user_data/shop.php)の店頭でご購入いただけます。

The English version of the “Seismicity  of the world”  is updated. Earthquakes above M5 between 2011-2017  are plotted. Pentaglobe is also updated with M5 and above that occurred between 2009-2017.

電気工作の設計図

感震器2018_ele_text
感震器2017_ele_text
板バネ式地震計2016_ele_text
磁気センサ2015koukaidenki
地震センサ2014koukaidenki
地震感知器2013koukaidenki
地震感知器2012koukaidenki
傾斜計2011koukaidenki

地震研究所では、毎年一般公開の際に、技術開発室による機械工作・電気工作体験教室が開催されています。その教室で過去に使用された「板バネ式地震計」や「感震器」等、プロの知恵がギュギュっと詰まった電気工作の、わかりやすい設計・工程をこちらで公開しています。教材の一助としてお役立ていただけます。

技術開発室:電気工作
(各ページ内左下に「テキストはこちら(pdfファイル)」とありますので、そちらからダウンロードしていただけます)

世界の火山・プレート地図 誕生

地震研究所のグッズに、新たな仲間が加わりました。世界の火山およびプレートの動く向きや速さを表した地図です。「国」ではなく、「プレート」という視点で世界を見ていただくものになっております。
今回も、「震源地図シリーズ」でお馴染みの東京カートグラフィック株式会社さんにご協力いただき作成しています。

8月に開催される、地震研一般公開等で配布される予定です。

詳しい説明をYoutube地震研チャンネルからご覧いただけます:

30秒間隔のキネマティックGPS座標値に含まれるマルチパスノイズの低減手法の性能

伊東優治・青木陽介(東京大学地震研究所)
On the performance of position-domain sidereal filter for 30-sec kinematic GPS to mitigate multipath errors
Yuji Itoh and Yosuke Aoki (Earthquake Research Institute, The University of Tokyo)
Earth, Planets and Space (2022) 74:23 https://doi.org/10.1186/s40623-022-01584-8

 
 GPSによって求められる地上のあらゆる場所の座標値とその時間変化(すなわち東西、南北、上下の各方向への地面の動き)は地震火山現象に伴う地殻変動観測の有用な手段として広く使われています。地殻変動に関する研究では多くの場合で1日間隔のGPS座標時系列データ(例えば国土地理院・電子基準点日々の座標値F5解)が使われていますが、キネマティック解析と呼ばれる手法を使うことで1日以下の間隔(1秒や30秒等)で座標値を決めることができます。そのような座標時系列は、巨大地震・大規模火山噴火の最中や直後の数日間に亘る速い地殻変動の進行過程の詳細な追跡に極めて有用です。しかし、座標値の誤差が数cm程度のため、小規模な地殻変動(1cm以下)の検出は難しいとされていました。
 キネマティック解析による座標値決定(キネマティックGPS)の主要な誤差源の一つは「マルチパス」です。GPSによる座標値の決定では、衛星から伝搬する電波を用いて複数の衛星と地上観測点間の距離を計測します。その際、最短距離で観測点へ届く電波に加えて、観測点周辺の地面や建物、樹木等で反射されることで「遠回りした」電波(マルチパス)が生じ、両者を同時に観測してしまうことで観測点の座標値に誤差が生じます。マルチパスの影響は衛星、観測点、反射体の位置関係に依存するため、衛星の周回周期に基づき座標時系列の時間的な差をとること(サイドリアルフィルタ)で低減できます。本研究では小規模な地殻変動の検出への適用を目標として、もう一つの主要な誤差源である大気遅延の影響が無いと見なせる環境において、マルチパスの特性の検討とサイドリアルフィルタの性能評価を行いました。
 異なる期間に観測された座標時系列データ間の相関係数を解析し、マルチパスによる座標値のばらつきは比較的長周期(500-1000秒以上、10万秒以下)に現れ、短周期帯域でのばらつきの時間的な再現性は乏しいという結果が得られました。実際にサイドリアルフィルタを適用したところ、こうした長周期の座標値のばらつきをうまく除去できました(図中の左側と中央のパネル)。また、短周期成分を除去したサイドリアルフィルタを使う場合、除去しないものを使う場合と比べて、フィルタ適用後の座標値のばらつきがわずかに小さくなり、パワースペクトル密度に見られる短周期成分のノイズレベル上昇を避けられました(図中の右側のパネル)。
サイドリアルフィルタ適用後の座標値のばらつきは数㎝から6 mm以下に改善されました。標準的な解析設定で得られるキネマティックGPS座標値のノイズレベルの概ね最小値であると考えています。この値は、キネマティックGPS座標値を用いた地震、火山現象に伴う地殻変動の検出に関する研究を計画する上で参考になると考えられます。



図. (左)キネマティックGPS座標値のばらつきを色で示したもの。上段、中段、下段に異なる基線(2つの観測点のペア)の結果を示します。左列、中列、右列に南北、東西、上下成分の結果を示します。赤色が濃くなるほど北向き、東向き、上向きの見かけ上の座標値の変化があったことを示します。反対に青色が濃くなるほど南向き、西向き、下向きの見かけ上の座標値の変化があったことを示します。また、解析から除外した座標値を緑で示します。基線の長さの時間変化がないと仮定できることから、これらの図は白色で一様に塗られることが想定されていましたが、実際は座標値のばらつきによりそうなっていません。(中央)サイドリアルフィルタ適用後の座標値のばらつきを色で描いたもの。ばらつきが小さくなった結果、図の色が薄くなっています。(右)サイドリアルフィルタ適用前後のパワースペクトル密度。適用後(緑と赤)では、適用前(黒)のスペクトルのうち、500秒よりも長周期側に見られた多数のピークのうち大半が消えています。一方で、サイドリアルフィルタに含まれる短周期成分を除去しなかった場合(緑)は、除去した場合(赤)と比べて短周期側のパワースペクトル密度が大きくなっており、ノイズレベルの上昇を示しています。

第1011回地震研究所談話会開催のお知らせ

 下記のとおり地震研究所談話会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。今回は、コロナウィルス感染対策として、地震研究所の会場での開催は行いません。WEB会議システムを利用した参加のみとなります。参加に必要な設定URL・PWDについては、参加をご希望される方宛に別途ご連絡をいたしますので、共同利用担当宛( k-kyodoriyo@eri.u-tokyo.ac.jp )お問い合わせください。

なお、お知らせする設定URLの二次配布はご遠慮ください。また、著作権の問題がありますので、配信される映像、音声の録画、録音を固く禁じます。

                 記

日  時  令和4年2月18日(金)午後1時30分~ インターネット WEB会議

  1. 13:30-13:45

演題:Adaptive and automatic P- and S-phase pickers based on frequency spectrum variation of sliding time windows

著者:〇Yijun ZHANG、Qiang CHEN・Xianwen LIU(西南交通大学)

要旨: We here develop a new refining picker which adopts the frequency spectrum variation analysis (FSVA) to perform the adaptive phase onset identification for P and S-wave.

2. 13:45-14:00

演題:セルオートマトン研究の動的破壊への拡張

著者○福田孔達、波多野恭弘(大阪大学)、望月公廣

要旨: 破壊と地震活動の両方を扱えるセルオートマトンモデルを提案し、時定数競合を考察する事の重要性を指摘する。

3. 14:00-14:15

演題:空振・地震観測と衛星画像から抽出した2022年1月トンガ海底火山噴火の活動推移

著者:〇市原美恵・西田 究・金子隆之、黒川愛香(防災科研)、中田節也

要旨: The  eruption generated huge waves in the atmosphere, ocean, and solid earth. This study focuses on the volcanic activity in three days including the huge explosion.

4. 14:15-14:30

演題:松代の超伝導重力計で観測された2022年1月15日トンガ火山の噴火にともなう重力変化

著者:〇今西祐一

要旨: 2022年1月15日に発生したトンガの火山の噴火によって励起された大気ラム波が松代観測点(長野県)に到達したときに記録された気圧変化と重力変化について述べる。

○発表者

※時間は質問時間を含みます。

※談話会のお知らせが不要な方は下記までご連絡ください。

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1 

東京大学地震研究所研究支援チーム

E-mail:k-kyodoriyo@eri.u-tokyo.ac.jp

※次回の談話会は令和4年3月18日(金)午後1時30分~です。

福島駿(博士1年)が日本地震学会学生優秀発表賞を受賞

 日本地震学会2021年秋季大会において、10月14日に発表した福島駿(博士1年)・篠原雅尚教授・山田知朗助教・西田究准教授、竹尾明子助教らによる研究が学生優秀発表賞を受賞しました。

 受賞した研究では、光ファイバをセンサーとして地震を観測する新しい技術(DAS観測)とを用いて、三陸沖の堆積層及び、島弧側上部地殻構造の地震波速度構造の高分解能推定を目的として,表面波の位相速度を計測しました。
地震研究所が三陸沖に設置した光ケーブル式海底地震・津波観測システムを利用して、DAS観測を推進しています。DASデータに対して地震波干渉法を用いて表面波の抽出を行い,spatial autocorrelation (SPAC) 法を用いて周期10秒程度までの位相速度推定を行ったところ、DAS 観測点は非常に密に配置されているため、地震波干渉法により解析することで、従来の海底地震計と比較して短時間のデータでS/N比の良い表面波が抽出できることも分かりました。また、DAS観測の場合、様々な大きさのアレイサイズに対してSPAC法を適用することができます。対象となる周期・波長に合わせてアレイサイズを変えて位相速度を測定することができるため、高分解能かつ高精度な測定が期待できます。今後、DAS データから得られた位相速度から速度構造を求めることで、従来よりも空間的に分解能が高い島弧側上部地殻地震波速度の推定をめざします。


<優秀学生発表賞>
題目:三陸沖光ケーブル観測システムのDistributed Acoustic Sensingデータを用いたレイリー波位相速度の計測
著者:福島 駿1、篠原 雅尚2、山田 知朗2、西田 究2、竹尾 明子2、蓬田 清3
1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2. 東京大学地震研究所、3. 北海道大学 理学院 自然史科学専攻 地球惑星ダイナミクス分野
授与機関:日本地震学会
受賞日:2021年11月18日

第13回サイエンスカフェ(オンライン)開催報告

第13回サイエンスカフェを、 地震・火山噴火予知研究協議会と広報アウトリーチ室の共同で、2022年2月8日にオンラインで開催いたしました。

 
 13回目となる今回は、「海域火山」というテーマで開催し、話題提供者に 前野深 准教授(東京大学地震研究所),石塚治 首席研究員(産業技術総合研究所)を迎え、加藤尚之 教授の司会のもと海域火山の研究の現状や,海域火山の噴火による災害の可能性などについて話題提供していただきました。


<地震・火山噴火予測研究のサイエンスカフェ >
地震や火山噴火に関する研究の成果は、予測の基礎となることが期待されています。これまでの研究から、地震や火山噴火のメカニズムへの理解は深まってきました。また、今後発生する可能性のある地震や火山噴火を指摘することもある程度はできます。しかし、規模や発生時期についての精度の高い予測はまだ研究の途上です。このサイエンスカフェでは、地震・火山噴火の予測研究の現状について研究者と意見交換を行い、研究者・参加者双方の理解を深めることを目的とします。