南極にもあります

日本の昭和基地もそうですが,長く閉ざされた冬を越す南極の基地にはバーがあります.マクマード基地は南極最大の基地だけあって,3店舗もバーがあります.古くからあるバーはコルゲートの建物を改装したもので,味わいがあってなかなか良い雰囲気です.

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立ち入り禁止

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南極には南極条約や批准各国の関連法で定められた保護地域があり,動植物や砂礫の採取はもちろん立ち入りも厳しく制限されています.これを遵守することは,人間の影響を可能な限り排除してありのままの自然を守るために,南極を訪れる全ての人々に課せられた義務です.

食堂その1

午前中に1902年にスコットが建てた小屋の内部を見学する機会がありました.僅かな補修はされているものの,100年間も南極の暴風雪に曝された木造建築とは思えないほどしっかりしていました.

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ここは,1901-1904年のDiscovery Expeditionの際,1902年にスコットが建てた小屋の食堂です.以前は自由に見学出来たらしいのですが,南極遺産保護のため10年ほど前に鍵が掛けられました.今回,見学する機会が設けられたので同行しました.内部はそのままの状態で保存されており,食糧兼燃料として捕獲したアザラシが積まれたままになっていた.1902年以後も何度となく利用されたせいか,煤と油脂の臭いが染みついていました.

食堂その2

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ここは現在のマクマード基地の食堂です.明るく開放感があり,200~300人が一度に食事できるとても広い部屋です.ここに限らず室内にいると,南極に来ていることを忘れてしまいそうになるくらい近代的で文化的な国内と変わらない生活が繰り広げられています.

南極の南は?

食堂の壁に掛けてある時計です.南極大陸をデザインに取り入れたお洒落な逸品ですが,文字盤をよ~く見ると…

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1~12の数字の代わりに全部”N”.
そう,南極点から見るとどの方向を向いても,360度全てが北なのです.

LC-130

【LC-130 Hercules】

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マクマード基地から南極点基地まで,この輸送機で飛んできました.航空自衛隊も保有しているC-130輸送機をベースに,雪面上でも離発着が出来るよう車輪に橇を付けるなどの改良が施されています.

サウス・ポール

【Amundsen-Scott South Pole Station】
日本を発って10日,南極点基地に到着しました.ここは南緯89度59分,標高2836mです.南極点までは,歩いて数分というより基地の片隅にあります.現在,気温は-25℃,気圧は684mb.屋外に出ると顔の露出した部分が痛くなり,室内に入ると眼鏡が凍結します.
マクマード基地もそうですが,南極点基地でもニュージーランド標準時を使用しています.クライストチャーチ ~ マクマード基地 ~ 南極点基地は航空機で頻繁に往来があるからなのでしょう.

SouthPole

【Ceremonial South Pole】
南極条約締結を記念して立てられた記念のポール.これを囲むように南極条約の原署名12ヶ国(アルゼンチン・オーストラリア・チリ・ロシア・ニュージーランド・ノルウェー・アメリカ・連合王国・フランス・日本・ベルギー・南アフリ カ)の国旗が半円形に並んでいます.(床屋さんのポールサインみたい)

トンネル内のシャンデリア

【-45℃のトンネル】

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南極点基地の雪面の下には,長さ600mを超える観測用トンネルがあります.トンネルといっても延々と雪を掘り進めたもので,今回特別に案内してもらいました.トンネル奥の気温は…,なんと-45℃!支給されているExtreme Cold Weather gearと呼ばれる防寒具で完全装備していても,1時間もすると手足の指先から感覚がなくなっていきます.デジタルカメラも,低温のせいで途中から動かなくなってしまいました.そんな極低温の世界だからこそ,天井には空気中の水分が凍って出来た巨大な結晶がびっしり.まるで天然のシャンデリアのようです.