地球計測系研究部門の中谷正生 准教授が、本学ウェブサイトの「人紹介」にて紹介されました。ぜひご覧ください。
掲載URL:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/news/topics/topics_z0531_00033.html
地球計測系研究部門の中谷正生 准教授が、本学ウェブサイトの「人紹介」にて紹介されました。ぜひご覧ください。
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今年度末で退職される教員3名の、最終講義が3月23日、地震研2号館第一会議室で開催されました。
演題:GPS:昔の夢・今の夢
演者:加藤照之教授
演題:防災のネットワークと多様性
演者:鷹野澄教授
演題:火山噴火予測と地質学
演者:中田節也教授
Antonio Costa, Yujiro J. Suzuki, Takehiro Koyaguchi
Nature Communications, 9:654, 2018.
DOI: 10.1038/s41467-018-02901-0
解説
爆発的な火山噴火では火山灰を多く含む噴煙が放出され、火山の真上にあがる噴煙柱や上空で横に広がる傘型噴煙、地表を流れ下る火砕流を作ります。上空での噴煙は航空機運航の障害になりますし、火砕流は人命を危険に晒します。私たちはカルデラを形成するような超巨大噴火を経験したことがなく、そのような噴火で被災する領域を正確に予測することができません。そこで、数値シミュレーションを使って超巨大噴火での噴煙の高さや広がりを調べました。
独自に開発してきた3次元の流体シミュレーションを行ったところ、噴火の規模が変わると噴煙の形状や振る舞いが大きくことなることを明らかにしました。ピナツボ火山の1991年噴火程度だと、ほとんどの噴煙は上空にあがって噴煙柱を作ります(図のa)。それより数倍大きな噴火では、噴煙柱と火砕流が同時に形成します(図のb)。噴火の規模がaの10倍にもなるとほとんどの噴煙は火砕流として流れ、火砕流の上面から”灰かぐら”と呼ばれる噴煙が上がります(図のc)。さらに噴火の規模が大きくなると、火砕流の先端に濃い噴煙が集まり、リング状の灰かぐらが生まれます(図のd)。噴煙の最上面に注目すると、a,b→c→dにしたがって“ドーム状”→“テーブル状”→“リング状”というように大きく異なることが分かります。
リング状の噴煙が形成することは、今回の研究で初めて明らかにしました。また、これらの噴煙形状は噴煙の高度にも強く影響することが分かり、これまでの噴煙高度予測を大きく変える結果となります。
福田淳一(東京大学地震研究所)
Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 123, 732-760, 2018.
https://doi.org/10.1002/2017JB014709
スロースリップイベント(SSE)は数日から数年の期間に亘って非地震性すべりが加速する現象であり、GNSS等の測地学的観測により、沈み込み帯を始めとする世界各地のプレート境界で多数検出されてきました。これらのSSEのマグニチュード、継続時間、繰り返し間隔、すべりの空間分布などの静的なパラメータは多くの研究で明らかにされてきましたが、SSEの時間発展過程を明らかにした研究は少数にとどまっています。しかし、詳細な時間発展過程を明らかにすることは、SSEの発生メカニズムやSSEによる地震活動の誘発メカニズムの理解につながる可能性があるため、重要です。そこで本論文では、房総半島沖で数年ごとに繰り返し発生してきたMw6.6-6.7のSSEの詳細な時間発展過程を推定することを試みました。
本研究では、1990年代半ばに国土地理院のGNSS観測網が構築されてから発生した1996, 2002, 2007, 2011, 2013-2014年のSSE発生時のプレート境界面におけるすべり速度の時間発展をGNSSデータを解析することによって推定しました。例として、2007年のSSEにおけるすべり速度の時間発展の推定結果を図1に示します。大局的に見れば、5つのSSEは全て房総半島の東方沖で始まり、すべりの加速とともに西に拡大・伝播し、その後すべりは減速しながら南東に伝播するという共通の特徴を持っています(図1)。しかし、より詳細な時間発展を調べると、5つのSSEにおけるすべりの加速や伝播のパターンはイベントごとに異なることが明らかになりました。すべりの加速の特徴は、推定されたすべり速度から計算されたモーメントレート関数に現れています(図2)。1996年、2013-2014年のSSE では、2002、2007、2011年のSSEに比べてモーメント(すべり)が緩やかに加速したことが分かります(図2f)。特に2013-2014年のSSEでは、すべりの開始後15~20日の間非常にゆっくりとした加速が継続するという特徴が見られました(図2e, f)。すべりの加速時に起きたすべり域の拡大・伝播についても、その伝播様式がSSEごとに異なることが分かりました(図3)。
5つのSSE全てに同期して、群発的な地震活動が見られました(図1, 2)。地震活動の震源分布と推定されたすべり速度を比較すると、地震活動はすべり速度が大きな領域の深部側の端付近で発生し(図1)、震源分布はすべりの伝播と共に移動したことが分かりました(図1, 3)。このような震源分布の移動とすべりの伝播の間の強い相関は、地震活動がスロースリップによる応力変化により誘発されたことを示唆します。
本研究の結果は、GNSSデータにより、SSEの詳細な時間発展を推定できることを示しました。今後、同様の解析により、他の地域のSSEについても、時間発展の詳細な描像が明らかになることが期待されます。また、このような解析で得られたすべり速度の時間発展を再現するような物理モデルを構築し、SSEの発生メカニズムの解明を進めていくことが今後重要であると考えられます。
ウェブサイト立ち上げ:2018年3月5日
最終更新日:2018年4月19日
3月1日に霧島山(新燃岳)が噴火し、気象庁は警戒が必要な範囲を3kmに拡大しています。
2018年4月19日
霧島火山群新燃岳2018年噴火の火口観察(2)
概要: 2018年4月15-16日にドローンにより新燃岳火口内及び周辺を観察した。3月6日に流出を開始し、北西火口縁から溢れ出した溶岩は、舌状に山体北西斜面を覆い、150 m程度流下している。溶岩溢れ出し部の西縁付近からは大量の水蒸気が上がっている。火口蓄積溶岩の中央部には小火口(直径100 m程度の凹地、深さ不明)が形成されており、噴気が活発である。西側斜面にも複数の箇所に噴気活動が認められる。
図5 新燃岳西側斜面の噴気活動の様子。斜面下位には複数の小噴気孔からなる噴気地帯、中腹にはやや大きい噴気孔が存在する(上、黄色点線)。中腹の噴気活動は活発である(下)。
参考資料:
1) 国土地理院 平成30年(2018年)霧島山(新燃岳)の噴火に関する対応: http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/h30kirishima-index.htm
(火山噴火予知研究センター :前野 深)
2018年3月20日掲載
霧島火山群新燃岳直下の微動活動について
東京大学地震研究所が展開する新燃岳火口近傍の地震観測点データを主に用いて、2017年10月3日から2018年3月噴火に至る微動活動について解析を行った。その結果、以下のことが分かった。
※微動源解析方法 (Ichihara & Matsumoto、 2017、 GRL に準拠)
常時振動成分の見られる3.5-7 Hz帯域について、地震動3成分のパワーを計算し、時間窓内の中央値を取る。時間窓長さは5分とし、1分ごとにスライドさせた。10分の間の各観測点間のパワーの比の標準偏差が一定値より小さい時間窓について、観測点間のパワー比を用いて、微動源を推定する。事前に、明瞭な微動が安定して見られた2017年10月10日21:30–10月11日01:00 の振幅分布を用いて、各観測点の振幅値補正と領域の平均Q値の推定を行った。2011年噴火時の微動振幅分布と高密度地震計アレイのデータを用いて求めたQ値とほぼ同じ値に決められた。
(火山噴火予知研究センター:市原 美恵・大湊 隆雄)
新燃岳火口の様子(3月13日)
火口の様子をセスナ機により観察した(3月13日13時40~50分)
(※ 観察には新日本航空のセスナ機を使用した.観察者:金子 隆之)
2018年3月15日
霧島火山群新燃岳2018年噴火の火口観察
概要: 2018年3月14日にドローンにより新燃岳火口内及び周辺を観察した。3月6日に流出した火口蓄積溶岩は9日には北西火口縁から溢れ出し,舌状に山体北西斜面を覆っている。その両脇の溶岩は大量の水蒸気を上げ,火口縁に迫っている。南東側溶岩末端崖では所々水蒸気が激しく上がり,溶岩が前進しているようである。火口蓄積溶岩の中央部はやや凹んでおり,凹地周縁からは弱い噴煙が時折発生する。ブルカノ式噴火の前には中央の複数の箇所から小規模な噴煙が発生する。
ドローンによる撮影
図5 15時18分頃の噴火(下)と噴火前の火口内の状況(上)。火口からは複数の箇所から灰色〜褐色噴煙が生じている。このおよそ5分後に噴火が発生した。下写真は一眼レフカメラによる。
(火山噴火予知研究センター :前野 深)
2018年3月12日報告
【概要】
・溶岩は火口内で溶岩ドームとして成長拡大を続け、8日夜半までに火口をほぼ満たし、低くなっている北西側の火口縁に乗り上げた。
・ 溶岩ドーム拡大の様子は衛星SAR解析で正確に捉えられ、9日までに溶岩供給がほとんど停止したものと考えられる( 引用1、2)。
・成長をほぼ止めた溶岩ドームの中央部で、 9日午後からは爆発的な噴火が始まった。
・北西縁に乗り上げた溶岩は自重で斜面下方へゆっくり移動した。
・ 今回の溶岩流出から爆発的噴火の推移は2011年1〜2月噴火と類似 している。
1)防災科研、平成30年(2018年)3月新燃岳の噴火活動に関するレスポンスサイト(http://gisapps.bosai.go.jp/nied-crs/2018-0003/index.html)
2)平成30年(2018年)霧島山(新燃岳) の噴火に関する対応(http://www.gsi.go. jp/BOUSAI/h30kirishima-index. htm)
【新燃岳2018年噴火のマグマ組成】
2018年3月7日夕方までに採取した軽石質火山礫及び火山灰の全岩化学組成を決定した。(採取場所:新湯三叉路付近(前野採取)、採取日:3月7日)
・ 今回のマグマは2011年噴火のマグマとほぼ同じ安山岩組成であ る。
・ 先行した水蒸気噴火〜マグマ水蒸気噴火火山灰の組成は、2011年噴火と同様に、時間とともにマグマの組成に近づいていったことがわかる。 これは火山灰中の変質物質の量が次第に減少したことを反映してい る。(なお、分析に用いた試料は粗粒火山灰や数ミリの軽石片であるので、斑晶を含む正確な全岩組成からは若干ずれている可能性がある。)
【上空観測】
新燃岳の山頂火口を上空から観察した。 以下のようにまとめられる。
・新燃岳の山頂火口に蓄積した溶岩(溶岩ドーム) には同心円状の成長模様がよく発達している。
・ 溶岩ドームは中央部がほぼフラットかやや全体が窪んだ形状を示し , 爆発的噴火によって降り積もった部分が褐灰色の火山灰で覆われて いる。灰で汚れている部分の中央部が爆発点で、溶岩が現れた広がった供給口と思われる(Fig. 2)。
・3月9日午後5時頃の観察では溶岩は北西縁に乗り上げて、先端部から水蒸気の白煙を上げていた。 翌日10日午後3時半頃には先端部が斜面に向かって前進し、表面は酸化して赤茶けている(Fig. 3, Fig. 4)。
・約1日で溶岩の先端は数十m前進したと思われるが、前端から特に大きな崩落は起きていない。
・3月10日午前10時15分頃の爆発の10分ほど前から、火山灰にまみれた中央部で火山灰が全体から弱く放出され始め、さらにその中央部で隆起が認められ、甘食のような形状となり、噴火に至った(Fig. 5)。
(観察には新日本航空チャーター機、及びKYTとUMKのヘリコプターを利用した。中田撮影)
(報告者:火山噴火予知研究センター 中田 節也)
新燃岳火口の様子(3月3日)
2018年3月1日午前8時半頃に始まった新燃岳の噴火は, 2日経っても火山灰の放出を続けている。 新燃岳の山頂火口の状況, 3月3日9時半過ぎから約30分間セスナ機(新日本航空) で上空からを調査した。
(主な点)
・火山灰噴煙は山頂火口の東端から勢い良く上がり, その周囲には2017年10月中旬と今回の噴火でできた火砕丘が できている。
・火山灰放出火口は, 2017年10月中旬噴火とほぼ同じ場所と考えられる。また, その火口径はより大きくなっているように見える。
・山頂火口では,火山灰放出火口以外にも水蒸気が多くの場所( 穴)から噴き出しており, その数や噴気量からは昨年10月より激しい活動であると考えられ る。
・山頂火口内には, 2011年の蓄積溶岩の境界部や蓄積溶岩上のくぼみの多くに水た まりができている。これは細粒火山灰が山頂火口全体を覆い, 水はけの悪い凹地が生じたためと思われる。
・3月1日から3日昼過ぎにかけて, 新燃岳の南東から北側にかけて広く降灰した。
・噴出した火山灰は, 2017年10月中旬噴火と同様に極細粒のものであり, 新たな軽石(よく発泡したマグマ片) 等の関与はまだ認められない。
(報告者:火山噴火予知研究センター 中田 節也)
加納将行1,2、加藤愛太郎1、安藤亮輔3、小原一成1
1東京大学地震研究所 2現、東北大学理学研究科 3東京大学理学系研究科
Scientific Reports, vol. 8, 3655 (2018), doi:10.1038/s41598-018-22048-8
世界各地の沈み込み帯において観測される深部低周波微動は、巨大地震発生帯の深部延長で発生することから、巨大地震の発生に影響を与えることが示唆されています。従って、微動の活動様式や微動発生場の物理的な特徴を理解することは,巨大地震発生を含む沈み込み帯の地震サイクルを考える上で重要です。本論文では、輻射エネルギーの観点から微動活動をより適切に評価したAnnoura et al. (2016) (http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/2016/05/12/total-energy-of-deep-low-frequency-tremor-in-the-nankai-subduction-zone-southwest-japan/)の微動カタログを用いて、特に微動活動が活発な四国西部における微動の活動様式を調べました。
まず2004年から2015年にかけて短期的スロースリップを伴って発生した微動活動について、輻射エネルギーの空間分布を求めたところ、豊後水道に隣接する西側では輻射エネルギーが大きく、また東側では輻射エネルギーが小さくなる傾向が見られました。次に、個々の微動活動の時空間変化を詳細に調べたところ、およそ半分の微動活動で、微動が豊後水道付近で開始し、東へと拡散的な移動を示すことが分かりました。
これらの解析を基に、微動の移動速度とその時に輻射されるエネルギーの関係を調べたところ、両者に正の相関がみられました(図1)。また、微動の移動速度が速い期間は、Hirose and Obara (2010)において傾斜計から推定される断層すべり速度が速い期間と対応していました。
本論文では、以上の観測事実が、空間的に不均質な強度を持つ微動パッチが応力拡散により連鎖的に破壊するモデル(Ando et al., 2012)で、定性的に説明可能であることを示しました。このモデルを観測事実に照らし合わせると、四国西部の西側では強度が比較的高い微動パッチが、東側では強度が弱いパッチが分布していると考えられます(図2)。この微動パッチ強度の空間分布は、微動の発生数や潮汐応答性(Ide, 2010)、微動発生域の上盤の流体分布(Nakajima and Hasegawa, 2016)と非常によい対応をもっていることから、微動パッチ強度が不均質であるというモデルは、四国西部の微動の発生様式を説明する一つのモデルと言えます。
今後、このような解析を西南日本全体に適用することで、微動の強度分布の包括的な理解が可能となります。得られた強度の不均質と、微動発生数や流体分布、さらに微動域周辺の地震波速度・減衰構造と比較するとともに、微動発生域の浅部に位置する巨大地震発生帯との対応関係を調べることで、微動の発生様式の更なる解明を目指します。
謝辞:本研究は文部科学省・日本科学技術振興会科学研究費助成事業 新学術領域研究「スロー地震学」(JP16H06473)の一環として行われました。
馬場慧1・竹尾明子1・小原一成1・加藤愛太郎1・前田拓人1・松澤孝紀2
1:東京大学地震研究所、2:防災科学技術研究所
Geophysical Research Letters (2018), 45, 733-738, https://doi.org/10.1002/2017GL076122
巨大地震が発生するプレート境界面の固着域の周辺部では、通常の地震のほかに、通常の地震よりもゆっくりと進行するスロー地震が発生しています。スロー地震は巨大地震と共通の低角逆断層のメカニズム解を示しており、巨大地震と関連している可能性が指摘されています。スロー地震に含まれる現象には、低周波微動、スロースリップイベント(SSE)、超低周波地震(VLFE)があり、本研究で解析を行った深部VLFEは、深さ30–40 kmで発生し、モーメントマグニチュードは3–4の範囲で、数十秒の周期が卓越しています。本研究では、様々な種類のスロー地震が頻発している四国地方において、プレート間のすべりの時空間分布を明らかにすることを目的として、深部VLFEの活動を2004年4月から2017年3月の13年間にわたって調べました。
その結果、豊後水道(図1のG1)では、長期的SSE(数ヶ月〜数年の間継続するゆっくりとした断層運動)の発生した2010年と2014年にVLFEの検出個数が大きく増加していました。しかし、G1の内部を細かく調べると、2010年の長期的SSEが発生している時期にはG1のほぼ全てのグリッドで深部VLFEの活動度が上がっていましたが、2014年の長期的SSEが発生している時期に関しては、活動度が上がっているグリッドもあれば、ほとんど活動度が変化していないグリッドもあり、活動度の上昇割合はグリッドによって大きく異なっていました。グリッドの間隔は0.1°(約10 km)なので、長期的SSEに対応する深部VLFE活動の変化について、10 km程度のオーダーでの空間的不均質性があると考えられます。また、イベントの累積個数のグラフ(図2)を見ると、G1とG2では2014年後半から2017年3月(解析期間の終了)まで深部VLFEの活動が静穏化し、1年あたりの発生個数が、静穏化が起こる前の60%程度になっていることがわかりました。静穏化の期間は2年半を超えており、VLFEの定常的な発生間隔に比べて長くなっています。VLFEの活動が低調になった原因の一つとして、プレート境界における固着の強化が考えられ、VLFEの活動度の変化は、プレート境界での固着の強さが変化したことを反映している可能性があります。
地震の観測についてを紹介する動画:Waves from the underground-地震観測について- が、広報アウトリーチ室HPにて公開されました。ぜひご覧ください。
藤田航平助教,勝島啓介氏,市村強准教授(東京大学地震研究所),堀越将司氏(インテル),中島研吾教授(東京大学情報基盤センター),堀宗朗教授,Lalith Wijerathne准教授(東京大学地震研究所)による研究が,東京で開催されたHPC Asia 2018でBest Paper Awardを受賞しました.HPC Asia 2018は高性能計算に関する国際会議の一つで,合計67件の応募のうち30件の論文が採択され(採択率45%),そのうち1件にBest Paper Awardが授与されました.
研究概要:
授賞対象となった成果は,大規模有限要素シミュレーションのコア技術である大規模メッシュ生成手法と,高性能有限要素解析ソルバーに関する研究です. 従来手法に比べ,提案手法によりメッシュ生成を15-17倍に高速化することができ,また,時空間並列のソルバーによりJCAHPC(東京大学・筑波大学)のOakforest-PACS及び理化学研究所の京コンピュータにおいて高速な有限要素解析が可能となりました.これにより,固体地球科学における3次元動的解析の大規模・詳細化が可能となり,分析精度の向上が期待されます.
対象論文:
Kohei Fujita, Keisuke Katsushima, Tsuyoshi Ichimura, Masashi Horikoshi, Kengo Nakajima, Muneo Hori, Lalith Maddegedara (2018), Wave Propagation Simulation of Complex Multi-Material Problems with Fast Low-Order Unstructured Finite-Element Meshing and Analysis
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3149474
https://www.itc.u-tokyo.ac.jp/blog/2018/01/31/post-1814/
(東京大学情報基盤センターによる受賞紹介)
ウェブサイト立ち上げ:2018年1月29日
最終更新日:2018年1月30日
2018年1月23日、群馬県にある草津白根山が噴火しました。ここでは、その後の現地調査についてをご報告します。
草津白根山2018年1月23日噴火の火口分布の再検討
概要: 2018年1月23日に噴火が発生した草津白根山で1月28日午後にヘリコプター(読売新聞社機)から撮影した写真を検討した結果、鏡池北火口北側の火口列,西側の火口に加えて、鏡池火口底中央西側にも新たな火口列(長さ約100m)が認められた。
・ 鏡池火口には火山灰の堆積や投出岩塊によって生じたインパクトクレーターが多数認められる。
・ インパクトクレーターが密集する範囲のほぼ中央部に少なくとも4つの凹地が認められ、ほぼ直線上(北西—南東)に配列する。
・ 大きい火口で15m x 10m、長いもので20mの大きさを持ち全長約100mに達する。インパクトクレーターの分布、堆積した火山灰の色合い、火口地形の新しさから、鏡池火口底の火口列は1月23日10時過ぎからの一連の噴火活動によって生じたものと考えられる。
※ 報道関係の方へ:撮影には読売新聞社の協力を得ています。写真の引用については、読売新聞社にお問い合わせください。
(火山噴火予知研究センター:中田節也)
(協力:読売新聞)
草津白根山(本白根)2018年噴火の上空観察
概要: 2018年1月23日に発生した草津白根山(本白根)の噴火を受けて、1月28日午後にヘリコプター(読売新聞社機)による上空からの観察を行った。鏡池北火口北側に形成されたほぼ東西に延びる火口列(少なくとも6つの火口)のほかに、西側にも、ほぼ南北に延びた形状の小火口が形成されていることを確認した。また鏡池北火口北側の火口壁には、倒伏した樹木片群を覆う火山灰を主体とした堆積物(最大層厚1.5 m程度)が認められた。
※ 報道関係の方へ:撮影には読売新聞社の協力を得ています。写真の引用については、読売新聞社にお問い合わせください。
(火山噴火予知研究センター:前野 深)
火山噴火予知連絡会拡大幹事会への提出資料
拡大幹事会2018年1月26日(PDF)
※ 報道関係の方へ:撮影には朝日新聞社・共同通信社の協力を得ています。写真の引用については、朝日新聞社・共同通信社にお問い合わせください。