開催報告:懇談の場「関東大震災から100年-過去の発生履歴を理解し未来の発生を予測する-

地震研究所と参加者とのコミュニケーション促進の場である「懇談の場」が2023年12月26日にハイブリッドで開催されました。

「関東大震災から100年-過去の発生履歴を理解し未来の発生を予測する-」について、地震火山情報センターの佐竹健治 教授によるお話でした。

第22回サイエンスカフェ(ハイブリッド)開催報告

サイエンスカフェを地震・火山噴火予知研究協議会と広報アウトリーチ室の共同で、2023年12月19日にハイブリッドで開催いたしました。

22回目となる今回は、「大正関東地震の震源過程と地震動」というテーマで開催し、纐纈一起 名誉教授(東京大学、現慶應義塾大学)および武村雅之 特任教授(名古屋大学減災連携研究センター)を迎え、加藤尚之 教授の司会のもと、1923年の大正関東地震の震源像について紹介していただきました。


<地震・火山噴火予測研究のサイエンスカフェ >
地震や火山噴火に関する研究の成果は、予測の基礎となることが期待されています。これまでの研究から、地震や火山噴火のメカニズムへの理解は深まってきました。また、今後発生する可能性のある地震や火山噴火を指摘することもある程度はできます。しかし、規模や発生時期についての精度の高い予測はまだ研究の途上です。このサイエンスカフェでは、地震・火山噴火の予測研究の現状について研究者と意見交換を行い、研究者・参加者双方の理解を深めることを目的とします。

第1031回地震研究所談話会開催のお知らせ

下記のとおり地震研究所談話会を開催いたします。

ご登録いただいたアドレスへ、開催当日にZoom URLとパスワードをお送りいたします。
なお、お知らせするZoom URLの二次配布はご遠慮ください。また、著作権の問題が
ありますので、配信される映像・音声の録画、録音を固く禁じます。

               記

    
      日  時: 令和5年12月22日(金) 午後1時30分~

      場  所: 地震研究所1号館2階 セミナー室
            Zoom Webinarにて同時配信

1. 13:30-13:45

演題:南東北・北関東地域における電磁気・地震アレイ観測から得られた知見【所長裁量経費成果報告】

著者:○上嶋 誠・臼井嘉哉・小山崇夫・飯高 隆・酒井慎一・加藤愛太郎、市來雅啓(東北大)、坂中伸也(秋田大)、山谷祐介(産総研)、小川康雄(東工大)

2. 13:45-14:00

演題:Observations of the Aftershock Sequences of Intermediate-depth Earthquakes Beneath Japan

著者:○Linda WARREN・Toshihiro IGARASHI・Aitaro KATO

3. 14:00-14:15

演題:Multiphase turbulent flow explains lightning rings in volcanic plumes 【成果発表補助報告】

著者:○ICHIHARA Mie., Pablo D. MININNI (U. Buenos Aires), S.RAVICHANDRAN (IIT Bombay), Corrado CIMARELLI (LMU Munich), Chris VAGASKY (Vaisala Inc.)

要旨:2022年1月に発生したHTHH火山の大噴火において観測されたリング状に拡がる火山雷のメカニズムを提案し,噴火活動との関係を議論する.

○発表者
※時間は質問時間を含みます。
※既に継続参加をお申し出いただいている方は、当日zoom URLを自動送信いたします。
※談話会のお知らせが不要な方は下記までご連絡ください。

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1 
東京大学地震研究所 共同利用担当
E-mail:k-kyodoriyo(at)eri.u-tokyo.ac.jp

※次回の談話会は令和6年1月19日(金) 午後1時30分~です。

南海トラフ浅部スロー地震の包括的理解へ向けた多面的レビュー

武村俊介1・濱田洋平2・奥田花也2・岡田悠太郎3・大久保蔵馬4・悪原岳1・野田朱美5・利根川貴志2
1東大地震研,2海洋研究開発機構、3京都大学、4防災科研、5気象研)

A review of shallow slow earthquakes along the Nankai Trough

Takemura, S.1, Hamada, Y.2, Okuda, H.2, Okada, Y.3, Okubo, K.4, Akuhara, T.1, Noda, A.5, Tonegawa, T.2 (2023) Earth, Planets and Space, 75, 164,
https://doi.org/10.1186/s40623-023-01920-6

(1. ERI, UTokyo, 2. JAMSTEC, 3. Kyoto Univ., 4. NIED, 5. MRI)

 
 2000年代前半にスロー地震が発見されてから、世界中の沈み込み帯でスロー地震に関する研究が盛んに進められてきました。私達は、南海トラフの深さ10 kmより浅い場所で発生する「浅部スロー地震」に注目し、その活動様式や発生場所の特徴について、地震学、測地学、地質学および室内実験のこれまで研究成果を多面的にまとめた英語論文(レビュー)を執筆しました。論文は https://doi.org/10.1186/s40623-023-01920-6 から読むことができます。

 南海トラフの浅部スロー地震は日向灘、室戸岬沖〜紀伊水道沖、紀伊半島南東沖の3つの地域で活発に活動します。これらの浅部スロー地震域は、フィリピン海プレートの固着域と安定すべり域の間の遷移領域に対応しています(解説記事:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/research/10787/)。このことから、浅部スロー地震域の摩擦特性に何か特徴があるのではないかと考えられます。一方で、地質学的に見てみると、プレート境界に沿って沈み込む堆積物は火山灰や粘土鉱物で主に構成され、走向方向(東北東―西南西)に南海トラフの広い領域で共通して見られます。浅部スロー地震が発生する深さ(温度150ºC以下)で、火山灰や粘土鉱物を含む堆積物の摩擦係数のすべり速度依存性は、ほとんどの場合、正となります(解説記事:https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2023/20230921.html)。これは、浅部スロー地震域を含む深さ10 kmより浅い場所では自発的に地震のようなすべり現象を引き起こすことが難しいことを意味します。つまり、浅部スロー地震の発生には何か特別な後押しが必要だと言えます。

 浅部スロー地震発生域のプレート境界周辺は、地震波速度の低速度層がイメージングされており、周囲と比べて間隙流体圧が高いと考えられています(解説記事:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/research/11785/)。さらに、浅部スロー地震活動中にプレート境界断層付近で地下構造の時間変化が確認されていて、浅部スロー地震活動中に流体がプレート境界断層付近を移動したと解釈されています。流体圧の過渡的な変化があることで、摩擦係数のすべり速度依存性が正であっても多様なすべり現象を発生させることが室内実験で確認されていることと併せて考えると、浅部スロー地震は流体移動現象と密接に関係していると解釈できます。つまり、浅部スロー地震が日向灘、室戸岬沖〜紀伊水道沖、紀伊半島南東沖の限られた地域で発生するのは、南海トラフの走向方向に不均質に分布した間隙流体とその流体圧の過渡的な変動が繰り返し起こることで発生していると結論づけることできるのではないかと考えています(図参照)。

 さて、日本海溝ではスロー地震発生域が東北地震の破壊のバリアとして機能した(Nishikawa et al., 2023 https://progearthplanetsci.org/highlights_j/511.html)と提案されていますが、南海トラフで発生する次の巨大地震ではどうでしょうか?南海トラフの海溝軸沿いのコアサンプルから高速(通常の地震)と低速破壊(スロー地震)の両方の痕跡が見つかっています(解説コラム:https://www.jamstec.go.jp/j/pr/topics/column-20220613/)。浅部スロー地震域が、将来発生する南海トラフの巨大地震ではどのような挙動を示すか、さらなる研究が必要となります。

 本研究は、学術変革領域研究(A)「Slow-to-Fast地震学」(領域のHP:https://slow-to-fast-eq.org/)などの助成により実施されました。

図:南海トラフ浅部スロー地震域とその特徴を描いた概観図。青色が濃い領域ではプレート境界断層周辺で流体圧が高いと考えられていて、浅部スロー地震の活動域とよく一致しています。図中の灰色の柱はコアサンプルが得られているボーリングの位置、右下の矢印はフィリピン海プレートの沈み込み方向を示しています。

2023 年度 東京⼤学地震研究所共同利⽤研究集会 「地震波形解剖学 3.0」‒ ⾼密度観測・⾼周波数地震動で視る地殻・マントル不均質構造 ‒

⽇時:2023 年 12 ⽉ 18 ⽇(⽉)13:30〜18:30
                                  19 ⽇(⽕)  9:00〜16:30


会場:東京⼤学地震研究所 1 号館
   セミナー室+オンライン(⼝頭発表)
    2 階ラウンジ(ポスター発表)


プログラム:
https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/furumura/prog/sanran_1202.pdf


参加申し込みフォーム:
https://forms.gle/Dx1MUFMoen4NXDm46
*申し込みいただいた方にZoom情報をお知らせします。

世話人:江本賢太郎(九州大学)・古村孝志・武村俊介

【プレスリリース】宇宙線測位の世界記録を大幅に更新

発表のポイント

◆GPSが使えない屋内等におけるセンチメートルナビゲーションに成功。
◆GPSが使えない屋内等における無線高精度時刻同期範囲を1桁以上向上。
◆宇宙線測位の実用化に向けて大きく前進。

第1030回地震研究所談話会開催のお知らせ

下記のとおり地震研究所談話会を開催いたします。

参加を希望される方は、事前に談話会申込フォームからお申し込みをお願いいたします。

なお、お知らせするZoomURLの二次配布はご遠慮ください。また、著作権の問題が

ありますので、配信される映像・音声の録画、録音を固く禁じます。

                記

    日  時: 令和5年11月17日(金) 午後1時30分~ 

    開催方法: 地震研究所1号館2階 セミナー室

          Zoom Webinarにて同時配信

1. 13:30-13:45

演題:地震波干渉法による伊豆大島の長期的な地震波速度構造の推定

著者:○行竹洋平、平 貴昭(カリフォルニア大学バークレー校地震研究所)、鬼澤真也(気象庁気象研究所)、森田裕一(防災科学技術研究所)

2. 13:45-14:00

演題:海陸統合探査による東北日本弧中部から日本海溝宮城沖前弧域にかけての地殻構造

著者:○蔵下英司・佐藤比呂志・岩﨑貴哉・飯高 隆・石山達也・篠原雅尚、石毛宏和 ((株) 地球科学総合研究所)、清水英彦((独) 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)、川崎慎治((株) 地球科学総合研究所)、阿部進((株) 地球科学総合研究所)、平田 直

3. 14:00-14:15

演題:南東北・北関東地域における電磁気・地震アレイ観測から得られた知見【所長裁量経費成果報告】

著者:○上嶋 誠・臼井嘉哉・小山崇夫・飯高 隆・酒井慎一・加藤愛太郎、市來雅啓(東北大)、坂中伸也(秋田大)、山谷祐介(産総研)、小川康雄(東工大)

○発表者

※時間は質問時間を含みます。

※既に継続参加をお申し出いただいている方は、当日zoomURLを自動送信いたします。

※談話会のお知らせが不要な方は下記までご連絡ください。

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1 

東京大学地震研究所 共同利用担当

E-mail:k-kyodoriyo(at)eri.u-tokyo.ac.jp

※次回の談話会は令和5年12月22日(金) 午後1時30分~です。