共同利用・共同研究による成果
2023年度の共同利用・共同研究拠点実施報告書から、地震研究所教員が参画した研究成果を中心に抜粋して紹介します。
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Earthquake Magnitude With DAS: A Transferable Data-Based Scaling Relation Yin, J. et al. Geophys Res Lett 50, e2023GL103045 (2023). https://doi.org/10.1029/2023GL103045 分散型音響センシング(DAS)は、地震の迅速な検知とその特性を知るうえで有望な技術ですが、これまでの研究は主に位相の情報に注目し、振幅の情報はあまり扱ってきませんでした。本研究では、米国カリフォルニアの2つのDASアレイと日本の三陸沖の海底アレイから地震記録を集め、観測データから直接求める手法により、初めてDASの振幅と地震の規模のスケーリング則を得ました。地域が異なっても同様の関係に従うことがわかり、この関係を使えば、記録を地動に変換する際に生じる不確かさを避けながら地震の規模を迅速に推定できます。較正を行えば新しい地域にも適用できると考えられ、震源の性質の把握や早期警報におけるDASの大きな可能性を示す結果です。 |
図1 P波・S波に対するスケーリング則[Yin et al. (2023)] |
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Upper-plate conduits linked to plate boundary that hosts slow earthquakes Arai, R. et al. Nat Commun 14, 5101 (2023). https://doi.org/10.1038/s41467-023-40762-4 プレスリリース プレート境界断層スロー地震発生域から海底面までつながる流体経路を発見 ▶ 浅い沈み込み帯では、流体のふるまいが、すべりの過程を左右したり泥火山をつくったりする地球の変動現象に影響します。しかし、上盤プレート内で流体の移動を支配する仕組みは明らかになっておらず、スロー地震を起こす断層の物性もよくわかっていません。本研究では、九州・パラオ海嶺が沈み込む日向灘について、高分解能の地震波速度モデルと反射断面を明らかにしました。上盤プレート内に、海底から深さ10〜13kmまで鉛直に伸びる幅数km規模の明瞭な低速度の柱状構造が見つかりました。この構造は海山の沈み込みで生じた破砕帯と考えられ、プレート境界から上方への流体の移動を助ける通り道として働いているとみられます。プレート境界に沿った上盤の地震波速度と反射強度の側方変化はスロー地震の分布と対応しており、上盤の排水システムが沈み込み断層における地震性すべりの複雑なパターンを支配していることを示しています。 |
図2 地震波速度断面に見られるプレート境界から伸びる低速度柱状構造[Arai et al. (2023)] |
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Enigmatic Tsunami Waves Amplified by Repetitive Source Events Near Sofugan Volcano, Japan Sandanbata, O. et al. Geophys Res Lett 51, e2023GL106949 (2024). https://doi.org/10.1029/2023GL106949 プレスリリース 2023年10月鳥島近海津波の謎――1時間半の間に14回の津波が発生―― ▶ 2023年10月8日、伊豆諸島や西日本で最大波高60cmの起源不明な津波が観測されましたが、孀婦岩(そうふがん)火山の西方では実体波マグニチュード4〜5の地震しか記録されていませんでした。その波源を調べるため、海底圧力計のアレイ観測網で記録された津波波形を解析したところ、複数の波群が繰り返し到達していたことが示唆されました。これを先行するイベントの津波波形で逆畳み込み解析すると、約1.5時間にわたって断続的に津波を起こした10回を超えるイベントが見いだされました。これらの時系列は、海底地震計から推定されたT波の発生時刻や群発地震の発生時刻と対応しており、共通の起源を持つと考えられます。系列の後半では規模の大きなイベントが起き、その間隔が津波の周期に近かったため、後続の波が増幅されたと考えられます。 |
図3 稠密海底観測網で記録された津波波形と、それを説明する十数回の津波の発生時刻、および群発地震・水中音響波の発生タイミング[Sandanbata et al. (2024)] |
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Largest Aftershock Nucleation Driven by Afterslip During the 2014 Iquique Sequence Itoh, Y., Socquet, A. & Radiguet, M. Geophys Res Lett 50, e2023GL104852 (2023). https://doi.org/10.1029/2023GL104852 受賞 伊東優治助教らによる論文がAGU Editor’s Highlight 受賞 ▶ 多くの地震モデルは、非地震性のすべりが地震の発生過程に影響を与えると予測していますが、実際にとらえた観測例は乏しいです。本研究では、2014年イキケ地震(M8.1)から27時間後に起きた最大余震(M7.6)発生までの一連の活動について、高サンプリングGPSによる変位に基づく解析を行い、本震の震央から約120km南での余効すべりの発生を明らかにしました。この領域は本震の破壊を止める障壁として働き、最大余震のすべり域を本震時にすべらせなかったことに寄与したとみられます。最大余震発生までの27時間のこの領域の余震活動数は徐々に増加し、最大余震の震央付近では最大余震の45分前にM6.1が発生しました。最大余震までの余効すべりが最大余震の震源域を不安定化させ、その発生を促したと考えられます。これは、非地震性すべりに駆動された小さな破壊が連鎖し、大きな地震へ成長するというカスケードアップ・モデルを支持する結果です。 |
図4 4段階に分けたすべり分布と、断層傾斜方向のモーメント分布[Itoh et al. (2023)] |
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Implications of Fault-Valve Behavior From Immediate Aftershocks Following the 2023 Mj6.5 Earthquake Beneath the Noto Peninsula, Central Japan Kato, A. Geophys Res Lett 51, e2023GL106444 (2024). https://doi.org/10.1029/2023GL106444 2023年5月5日に能登半島北東端の北側の沿岸付近で起きたMj6.5(Mw6.2)の地震は、長く続く活発な群発地震活動のなかで最大の規模です。この地震の破壊過程を調べるため、この活動と2番目に大きい2022年のMj5.4の活動について、より精密な余震カタログを作成しました。余震の多くは南東に約45度傾く面に沿って並びます。本震は2022年のMj5.4で破壊された断層帯の深部から破壊を始め、その後、同じ断層面に沿って浅部と海域へ急速に伝わりました。本震直後の余震の前面は時速約20kmで移動しており、この急速な上方への移動は、本震の破壊に伴って強く破砕され透水性の高くなった断層帯に沿って、地殻流体が上昇したことで駆動された可能性があります。これは、断層が弁のようにふるまう挙動(fault-valve behavior)を示唆するものです。 |
図5 長く続く活発な群発地震活動の期間に進行した地殻内の過程の模式図[Kato (2024)、Nishimura et al. (2023) にもとづく] |
※ 掲載しているのは成果の一部です。共同利用・共同研究による研究発表論文の集計は、拠点としての実績をご覧ください。
※ 図の出典は各キャプションに記載しています。利用条件は各論文のライセンスに従います。





