Noda et al. (2018)が求めたプレート境界のすべり欠損速度の分布を利用して、プレート境界のせん断応力変化の空間変化を評価し、浅部超低周波地震の震央位置と比較した(図)。その結果、浅部超低周波地震は、プレート境界の応力集中域の周囲で頻繁に発生していることがわかった。また、せん断応力変化と浅部超低周波地震の発生数の関係(図b)から、浅部スロー地震活動はフィリピン海プレートの沈み込みによるせん断応力変化が大きく強度の強い固着域とせん断応力変化が小さい安定すべり域の間の遷移領域で活発に発生していることを明らかにした。
図 (a)南海トラフ沿いで発生する浅部超低周波地震の震央分布とプレート境界のせん断応力変化率の比較、(b)プレート境界のせん断応力変化率と浅部超低周波地震の発生数の関係。せん断応力変化率はNoda et al. (2018)によるフィリピン海プレート上面のすべり欠損速度より計算した。薄い/濃い青○印は浅部超低周波地震の震央で、それぞれテンプレートイベントとの相関係数が0.45または0.60より大きいものを示す。