教授 | 川勝 均,塩原 肇,清水久芳(センター長) |
准教授 | 馬場聖至,竹内 希 |
助教 | 一瀬建日,森重 学(物質科学系研究部門兼務),竹尾明子(観測開発基盤センター兼務),臼井嘉哉(地震予知研究センター兼務) |
特任研究員 | 歌田久司 |
外来研究員 | 原田雄司,松野哲男,多田訓子 |
大学院生 | 川野由貴 (D2),KIM Hyejeong (D2),丸山純平 (D2),永井はるか(M1) |
技術支援員 | 横山景一 |
地震研特別研究生 | WAN Xiaoli |
教授 | 川勝 均,塩原 肇,清水久芳(センター長) |
准教授 | 馬場聖至,竹内 希 |
助教 | 一瀬建日,森重 学(物質科学系研究部門兼務),竹尾明子(観測開発基盤センター兼務),臼井嘉哉(地震予知研究センター兼務) |
特任研究員 | 歌田久司 |
外来研究員 | 原田雄司,松野哲男,多田訓子 |
大学院生 | 川野由貴 (D2),KIM Hyejeong (D2),丸山純平 (D2),永井はるか(M1) |
技術支援員 | 横山景一 |
地震研特別研究生 | WAN Xiaoli |
教授 | 大湊隆雄(センター長),森田裕一(兼),上嶋 誠(兼) |
准教授 | 金子隆之,市原美恵,前野 深,鈴木雄治郎 |
助教 | 及川 純,小山崇夫(兼) |
客員教員 | 鈴木由希,寺田曉彦,山本 希 |
特任研究員 | サンチェス・アルバレス・クラウディア・パス |
外来研究員 | 熊谷一郎, 武尾 実, 中田節也,長岡 優,桑野 修,吉本充宏 |
大学院生 | 蘭幸太郎(D3),山河和也(D3),池永有弥(D2),池田 航(M2),水野 樹(M2),正畑沙耶香(M1) |
教授 | 古村孝志(部門主任), 纐纈一起, 楠 浩一 |
准教授 | 三宅弘恵 |
助教 | 飯田昌弘 |
特任研究員 | 鈴木舞, Diao Hongqi, Trevor Zhiqing Yeow |
外来研究員 | 司宏俊 |
共同研究員 | 伊藤嘉則, 大石裕介 |
学術支援職員 | 齊藤麻実 |
大学院生 | 王 傑恵(D3), 陳 辰(D1), 王 澤霖(D1), 井出彩葉(M2), 岩井 創(M2), 木下俊輝(M2), KIM Kyungjin (M2), 棟田隆元(M2), 楊 萌(M2), 安 芝賢(M1), 大須賀啓士(M1), 柴田勇吾(M1), 黄 漢轅(M1) |
研究生 | Saavedra Maldonado Daniel, Pham Quang Vinh, Munoz Andre |
インターンシップ研修生 | Ardian Yudhi Octantyo |
災害科学系研究部門は,地震による強震動や津波などの現象の解明と予測を行い,それらによる災害を軽減するための基礎研究を理学と工学の視点から行う.観測,実験,解析,理論,シミュレーション,被害調査,資料分析などの手法によって,強震動地震学・津波地震学や耐震工学・地震工学などの分野の基礎的あるいは応用的な研究を行っている.本部門における最近の主な研究対象は,大地震の震源過程と強震動の生成過程の研究,高密度強震観測,地震波伝播・強震動のコンピュータシミュレーション,古地震・歴史地震研究,構造物の被害調査,耐震性能評価に関する研究などである.
教授 | 上嶋誠(センター長),加藤愛太郎,佐藤比呂志,山野誠,加藤尚之(兼任), 小原一成(兼任),篠原雅尚(兼任),飯高隆(兼務) |
准教授 | 石山達也,加納靖之,望月公廣 |
助教 | 福田淳一,蔵下英司,仲田理映,大邑潤三,臼井嘉哉,五十嵐俊博(兼任) |
特任助教 | 橋間昭徳 |
特任研究員 | 畑真紀,石瀬素子,加藤直子,栗原亮,水野嶺,吉岡誠也 |
学術支援職員 | 柳澤恭子 |
外来研究員 | 濱元栄起,今村尚人,伊藤谷生,岩崎貴哉,岩﨑友理子,笠原敬司,川北優子,川村喜一郎,南拓人,PANAYOTOPOULOS Yannis |
大学院生 | 馬場道人(M1),DIBA Dieno(M1),MA Yanxue(M1),山名祐輝(M2),横谷直人(M2),福田孔達(D1),上田拓(D2),山谷里奈(D2),米島慎二(D3) |
研究生 | MA Bowen |
日本学術振興会外国人特別研究員 | LI Shaoyang |
派遣職員 | 鈴木佐衣子 |
教授 | 岩森光, 中井俊一(部門主任),武井(小屋口)康子 |
准教授 | 平賀岳彦, 安田敦 |
助教 | 三部賢治, 三浦弥生, 森重 学, 坂田周平 |
特任研究員 | 原口 悟, 小泉早苗, 中尾 篤, 谷部功将, 山内初希 |
技術補佐員 | 今野沙世 |
大学院生 | 岡本篤郎(D3), Nahyeon Kim (D2),岩橋くるみ (D1), 猪狩一晟 (M2), 三ツ出唯利(M2), 椚原光良(M1), 宮本 堯(M1), 夏井文凛(M1) |
インターンシップ研究生 | 大野正貴,唐 文詩,呉 培倫 |
本部門では,物質や物性の研究を通じて,固体地球内部の構造やダイナミクスの素過程を明らかにすることを目指している.地球に留まらず,太陽系内外での諸現象も研究対象にしている.理論,室内モデル実験,超高圧実験,元素・同位体分析など様々な方法に基づいて研究を行っており,その 内容は多岐にわたる.本年度における概要を以下に示す.
地震研では高精度のひずみ観測を可能にするレーザー伸縮計のネットワークを展開している.
神岡地下の重力波検出器KAGRAに併設して建設した全長1.5 kmの基線をもつレーザー伸縮計の研究開発を継続している.また,以前より神岡鉱山内で観測を行ってきた100 mのレーザー伸縮計のデータ収録,自動制御系の更新を行った.これにより観測ネットワークを構成するひずみ計のデータ収録および制御系は共通のソフトウェア(National Instruments社製 LabVIEW)をベースとしたものに統一化された.長期安定な観測への寄与が期待される.
他に,気象研との共同研究として静岡県浜松市船明トンネルに設置された400 mレーザー伸縮計に導入した周波数安定化レーザーを用いた観測も継続している(COVID-19の影響で当初計画より期間が延びた).これらの伸縮計を用いて実際に地震イベントなどの観測を行うとともに,昨年度に続き光源の周波数安定度の評価のため,レーザーの詳細なノイズ解析を行うとともに船明の観測サイトで周波数安定度の評価試験および安定度の向上に取り組んでいる.引き続き神岡の1.5 kmひずみ計でも同様の評価と改良を行う計画である.
反磁性体と組み合わせることによって,受動的に浮上させた永久磁石を基準とした傾斜計の研究開発を行っている.これは以前行った重力計の研究を発展させたものである.傾斜計では浮上体(参照振り子)にはたらく水平面内での復元力を小さくすることによって傾斜に対する感度を高めることができる.これまでの研究で,磁石と浮上体の形状や配置を工夫することによってこのような状態は容易に実現可能であることがわかった.昨年度より新たに科研費を取得して研究を継続している.山梨県立産業技術短期大の研究者と連携して浮上体の理論モデルの精度を高め,実際に10秒程度の周期をもつ浮上振り子を製作した.今後はこれを元にして高感度傾斜計を実現するための位置センサーや制御系の研究開発を継続する.
海底ボアホールや陸域の深部ボアホール,あるいは海底面など,観測例の乏しい「観測フロンティア」での傾斜観測を目的とした小型傾斜計の研究開発を行っている.開発した小型・長周期の折りたたみ振り子を核とした傾斜計を製作し,実際に坑内ボアホールでの観測を継続している.これまでに得られたデータを分析することにより,長期ドリフト特性について良好な結果を得ている.
有効法線応力以外で断層の摩擦強度を変化させる要因としては,断層面の真実接触部の固着が時間とともに強固になるエージング効果が主に考慮されていて,その強度変化は断層面の音波透過率でモニタできることが実験で示されている.いっぽう,天然の断層でよく観察されるように,断層面が粉体層をはさんでいる場合には,鉱物粒子の幾何学配置が変化し剪断力を支える粉体層内の巨視的な骨組構造が変化することで大きな強度の変動がおきる.このような圧密強化が静止時の剪断除荷量に比例し,またその滑り弱化はエージング効果のそれに比べて著しく緩やかであること,エージング効果は静止時間の対数に比例しておこることを利用して,これらのメカニズムによる音波透過率への影響を気象研究所と共同して室内実験により明らかにした.両者の強度変化メカニズムに対応する音波透過率の変化を区別することに成功し,断層全体の強度は,両者のメカニズムのうちの強い方で決まっていることを見い出した.さらに,エージング効果,あるいはその解消は,断層全体の強度に反映される主滑り面以外でも粉体層全体にあまねく存在する粒子のミクロな接触部でおきているため,音波透過率と断層全体の強度が一対一対応にならないことが見い出された.
短期的スロー地震と長期的スロー地震の中間の帯域にあたる,数時間から数日の継続時間をもつスロー地震をGNSS観測から検知することを試みている.この帯域のスロー地震を検知しその性質を精査できれば,スロー地震の発生メカニズムの理解を進めることが期待される.この目標を達成するためにはGNSSキネマティック測位によるGNSS観測点の高品位の時系列が必要である.そのため,我々はGNSSキネマティック観測のノイズ源の最も大きなもののうちの一つである電波のマルチパスの影響を評価した.我々は約3 m離れた2点のGPS観測点をキネマティック解析し,時系列を求めた.この時系列には電波の大気による影響はほとんどないと考えられるため,ほとんどマルチパスの影響のみを抽出していると思われる.マルチパスの影響はGPS衛星の配置によって決まると考えられるため,その影響はGPS衛星の再来周期の2倍である1恒星日(23時間56分4秒)ごとに繰り返すことが予想されるが、実際には1恒星日よりも約10秒短い時間で繰り返すことが明らかになった.周期が10秒ずれる原因は不明である.また,繰り返すマルチパスの影響は500-1000秒よりも長い周期に卓越することが明らかになった.得られた知見をスロー地震発生域のGPS観測データに適用することにより,ノイズレベルが50 %以上減少することが,予備的解析により明らかになっている.
長野県松代において,超伝導重力計を用いた重力連続観測を行っている.重力計の記録から,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震のあと,年間およそ10マイクロガルという大きなレートで重力が減少を続けていることが明らかになった.この観測点は,地震の震源域からは400km以上離れており,GEONETによるGNSSデータから推定される上下変動は比較的小さいにもかかわらず,このように大きな重力変化が見られるのは,地震のあと継続しているアフタースリップあるいは粘弾性緩和による地下の密度変化をとらえていると考えられる.2020年度は絶対重力測定を実施し,2011年以来の長期的な重力減少傾向に変化が現れ始めていることがわかった.
前項で述べたような,東北地方太平洋沖地震後の長期的重力変化は,東日本の広い範囲で継続している.この現象を詳しく調べるため,北海道から中部地方にいたる数カ所,おもに超伝導重力計観測点において,絶対重力測定を実施している.2020年度における測定地点は,弟子屈,水沢,松代,富士山であった.また,絶対重力測定データの長期的な均一性を担保するために,絶対重力計の器差を厳密に検定する作業を開始した.
近年の伊豆大島は約1~2年周期の短期的な膨張・収縮を繰り返しながら,長期的には膨張傾向にある.この長期的膨張がマグマ蓄積によるものであるならば,長期的な重力測定によってその質量変動を測定できるはずである.地震研は,1998年頃から断続的(2005,2006,2007,2009,2012,2017,2018年)に絶対重力計と相対重力計を組み合わせたハイブリッド観測を行ってきた.さらに,降水に伴う重力変動の傾向を抑えることを目的として,2019年11月から2020年3月にかけては伊豆大島観測所内で絶対重力測定を行った.これらの活動の結果として,伊豆大島での絶対重力値の変動は,①大島の大局的な膨張・収縮に伴う上下動(フリーエア効果)②降雨による引力の効果,を組み合わせることで数マイクロガルの精度でモデル化できることが分かった.
地震研では,絶対重力計を用いた桜島での連続測定を2008年頃から続けてきた.絶対重力計は,京都大学防災研究所と国土交通省大隅河川国道事務所の協力の下,桜島南麓にある有村観測坑道の入り口付近に設置されてきた.2019年は年初から装置の不調が生じた7月末まで測定を行った.2020年度は10月に現地に行き,装置を交換して5日間測定を行った.
沖縄県石垣島において,2012年から超伝導重力計による重力連続観測を行なっている.この地域の地下では,約半年に一度,スロースリップが発生していることがわかっている.この観測では,地下の高圧流体がスロースリップの発生にどのように関わっているかを,重力をとおして解明することを目的としている.この場所では,大気・海洋・地下水が相互作用を及ぼしあい,重力に複雑な影響を及ぼしていることがわかってきた.それを効果的に補正するため,周辺地域において水文観測や重力サーベイを繰り返し実施している.
2018年12月アナク・クラカトア火山の山体崩壊による土砂の海中突入により,スンダ海峡周辺に津波が発生した.地滑りによる津波発生モデルと地震動を伴わない巨大地滑りが引き起こす津波の早期警報手法について,論文にまとめた.
2015年5月に発生した鳥島近海地震はM5.7と小さいが,東南海地域で広範囲に津波が観測された.津波波形・地震波形の同時インバージョンから,地震発生時にはカルデラ底がその下部で水平に広がるマグマの増圧により傾斜運動を起し,カルデラ壁に沿って跳ね上げ運動を起こしていることが判明した.スミスカルデラ付近で繰返し発生するCLVD型の火山性津波地震は,カルデラ浅部の複合断層運動により地震波発生効率が低下していると推定される.
2005年3月にスマトラ島のインド洋沖合で発生したニアス地震(M8.6)は,2004年12月に発生したスマトラ・アンダマン地震(M9.1)の最大余震であった.拡張・更新されたアフリカ・南極沿岸を含むインド洋全域の衛星海面高度計データと検潮記録に対し,最新の津波波動理論を用いて断層運動分布を求め,波源域が震源から1400キロ伸びていることを明らかにし,論文にまとめた.
水深分布を与え,任意の位置に津波の波源と観測点を置いたときに津波波線を計算する手法を新たに提唱した.これまでの手法では計算コストと波線収束の問題が存在していたが,新手法では任意の波源と観測点に対して一度の計算で波線が描けることを示した.1960年チリ地震津波では波源域北部で発生した津波は北海道東方から,また南部で発生した津波は本州南方から日本に到達していることを示した.北米西岸まで到達した2004年スマトラ地震津波では,第1波は波源域源から東方へオーストラリア南岸と太平洋を経由しており,第2波は西方へアフリカ喜望峰沖から南米南端のドレーク海峡さらに太平洋を経由していることが判明した.