ミルン『地震学総論』(その2)
この時期の地震学の発展にとって、いかに正確な地震計を設計・製作するかは、大きな課題でした。ミルンはクニッピング、パルミエリ、ワグネル、ユーイング、グレイ、フルベッキたちによる地震計設計の要点を紹介しています。
地震計設計のポイントは、「地震が来ても動かない点=不動点」を作り出すことですが、地上に完全な不動点を設けることは不可能です。そのために、見かけ上の不動点を設けるために、「振り子の原理」が用いられました。“慣性モーメントが大きく周期の長い振り子は、その支点が動いてもすぐには動き出さず、一見、不動点として振る舞う”という原理です。
白い紙を地面に置き、つり下げた振り子の先にペンをつけて、地震動を描かせる——–ペンと紙の動きを日常の筆記とは逆にしたもの、と考えればよいでしょう。動くのは紙で、ペンは動かないのです。
中でも古いフルベッキによるものは、現物も設計図も残っていませんが、ミルンによって、「地上ニ安置シタル大理石ノ板上ニ四個の水晶球ヲ排列シ其上ニ重厚ナル木板ヲ措キ底面ニ指針ヲ附シタル者ナリ」と記録されています。「重くぶ厚い木の板と、水晶の球」に、不動点を作る役目をさせたのでした。

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