大森房吉と今村明恒(その1)
大森の震災予防調査會での八面六臂の活躍を支えていたのは、今村明恒(あきつね)です。大森と今村は東京帝国大学理科大学の3年違いの先輩・後輩の関係で、今村が入学した年、大森は闘病生活中の関谷に代わり、大学院生のまま地震学助手を委嘱されます。後に大森は東京帝国大学地震学教室の教授、今村は助教授となりますが、今村は本来の身分は陸軍教授で、帝国大学の方は23年間無給の助教授でした。大森には『地震学講話』、今村には『地震学』の著作があり、明治・大正期の我が国の地震学の骨格を示すものとなっています。
地震学講話
『地震学講話』(大森房吉)目次
1.諸説
2 .地震と火山との関係
3.地震と時との関係
4.大地震の余震
5.地震と地理との関係
6.地震動略解
7.地震観測器械
8.普通地震動の験測
9.極小の微動
10.脈動
11.遠地地震の観測
12.地面の傾斜並に地震動の性質
13.東京(江戸)の地震
14.大地震の震動および震害
15.構造物の震害
16.単一なる構造物の震害
17.耐震家屋構造に関する注意
18.鉄骨および鉄筋構造と米国 加州の地震
19.橋梁、烟突、灯台、水道、道路、堤防等の震害
20.海水の震動
21.震動区域、震原地震の原因
22.地震の予知及び震害の防御
22.地震の予知及び震害の防御
地震学
『地震學』(今村明恒)目次
1.地震の現象
①近世の地震に就て
②歴史地震
2.地震の分布
①地震の発生地
②地震の発生期
3.地震の観測
①普通地震計
②記象の分析
③微動計
④観測の結果
⑤地震観測器械の応用
4.震災軽減法
①地震に遭遇したる時の注意
②地震の前知法
③震災を避くべき位置の選定
④建築法